【鹿児島】底知れぬ郷土愛を携えて、“ワンちゃん”の新たな冒険が始まった

カテゴリ:Jリーグ

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年04月03日

故郷に初めて誕生したJクラブ。

三浦監督(右)とはすでに厚い信頼関係で結ばれている。熱血コンビは鹿児島をJ2へと導けるか。(C)SOCCER DIGEST

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 FC東京U-23戦では、4-4-2システムで2ボランチの一角を担った。前半は押し込まれる展開が続き、守→攻の切り替えの場面で苦心していたが、後半になると流れは一変。鹿児島は松下が統率するプレッシングをツボにはめ、全体のラインをコンパクトに保ち、徐々に敵陣でプレーする時間を増やしていく。松下の先制点も、果敢なフォアチェックからのショートカウンターで生まれたものだ。
 
 その後PKで加点し、敵の追撃を1点に抑えて2-1の快勝。3勝1敗で勝点を9に伸ばした鹿児島は、開幕4連勝の福島ユナイテッドに次いで2位に付けている。まずまずのスタートだ。
 
 故郷に初めて誕生したJクラブ。当然、その一報は松下のハートにも火を付けた。待ちに待った瞬間だったと振り返る。
 
「ずっと正月に帰省するたび、まだできないのかな、上手くいかないなって言ってましたから(笑)。いずれは地元のJクラブでプレーしたいと思ってましたし、その願いを叶えられて嬉しいです。僕が小学生の頃、Jリーグはテレビの中の世界でしかなかった。それがいま、こんなに身近にあるんですよ。ホント、昔は想像もつかなかったですね。もともと鹿児島はサッカーが盛んで、大人も子どもも誰も彼もが熱い。だからクラブには、すごく大きなポテンシャルがあると思うんです。サッカー少年たちのためにも、目標とされるクラブにしたい。ユナイテッドでサッカーがしたいと思ってもらえるような、そんな存在にしていきたいんです」
 
 鹿児島実、神村学園、鹿児島城西など高校サッカーの名門校に代表されるように、昔から鹿児島は全土に渡ってサッカーが盛んで、前園真聖や遠藤兄弟(彰弘&保仁)、岩下大輔、大迫勇也ら数多のタレントも輩出してきた。だが、シンボルとなれるプロクラブは存在せず、長く待望されたままだった。
 
 そんななか、県内の2大クラブであるヴォルカ鹿児島とFC KAGOSHIMAがひとつとなり、2014年に鹿児島ユナイテッドが発足。2年後、悲願のJ3昇格を果たした。クラブとチーム、そしてファンが一体となって盛り立て、地道に県内外でアピールを展開。元来、鹿児島県人は郷土愛がすこぶる強い。着実に支援の輪は広がっており、この日の夢の島競技場には地元サポーターのみならず、首都圏在住の鹿児島県人も多く詰めかけていたという。

 今年のチームには松下のほか、同じくJリーグでの実績が申し分ないDF上本大海や、キャプテンで司令塔のMF赤尾公、左サイドで突破口を開くMF永畑祐樹など、12名の鹿児島出身者が名を連ねている。理想的な“在り方”を模索中だ。
 
「いつかは浦和やガンバのように、アジアでも世界でも戦えるクラブにしたい。まずは、J2昇格。そこでまたひとつ、大きな変化が生まれると思うんです。なので今季、かならずやり遂げたい」
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