メッシなど中心選手とL・エンリケの仲を取り持ってきた。
では、残る2人はどうか。
バルベルデは選手としてヨハン・クライフ率いるバルサでプレーした経験を持ち、リーガでの指導経験も豊富だ。現在率いるA・ビルバオのみならず、エスパニョールやバレンシアでも結果を出してきた安定感は抜群で、「この職業には珍しいほど普通の人」と関係者が揃って評するほど人間性も優れている。今シーズン終了時に現行契約が切れるため、違約金を払う必要もない。
それでも、最有力候補はウンスエで間違いないと見られている。
彼が現役時代にバルサに所属したのは、アンドニ・スビサレッタの控えGKに甘んじた2シーズンしかない。だが指導者としては、L・エンリケの右腕としてセルタとバルサで第二監督を務めてきただけでなく、フランク・ライカールト、ジョセップ・グアルディオラの指揮下でもバルサのGKコーチを経験している。
バルサの監督にはクラブ独自のプレー哲学を理解し、それをピッチ上で体現したうえで結果を出すことが求められる。近年はそれに加え、影響力を増し続けるリオネル・メッシらロッカールームの重鎮たちとも良好な関係を保つマネージメント能力も重要な要素となっている。
その点、ウンスエは断続的ながらも複数の監督とともに理論、実践の両面でバルサの哲学を掘り下げながら、多くのタイトルを勝ち取ってきた。L・エンリケ政権下では、決して良好とは言えない指揮官と中心選手の間に立って仲を取り持ってきただけに、選手たちの信頼も厚い。
監督としては、2部のヌマンシアを1シーズン、ラシン・サンタンデールを4か月しか率いた実績しかない。その経験不足を懸念する声もあるが、それはグアルディオラやティト・ビラノバ(2014年4月に癌で死去)の就任時にも言われたことだ。それに現時点ですでにL・エンリケとの二頭体制と言っても過言ではないほど、第二監督の枠を超えた責任を負っている。
「来シーズンも自転車に乗る時間があまりないことを望んでいるよ。少なくともそれが私の望みだ」
ウンスエは先日、ラジオのインタビュー中でそう言って来シーズンも現場に立ち続ける意向を口にしていた。相棒のL・エンリケが退任後すぐに新たなチームで働くとは考えにくいだけに、これは監督として独立する意思の表われと捉えて差し支えないだろう。
2012年夏、同じく内部昇格によるグアルディオラからビラノバへのバトンタッチが発表された際は、大きな驚きをもって受け止められた。今回は早くもウンスエの就任が既定路線として語られはじめているが、はたしてシーズン終了までに予想外の動きはあるだろうか。
文:工藤拓
【著者プロフィール】
1980年、東京都生まれ。桐光学園高、早稲田大学文学部卒。三浦知良に憧れて幼稚園からボールを蹴りはじめ、TVで欧州サッカー観戦三昧の日々を送った大学時代からフットボールライターを志す。その後EURO2004、W杯ドイツ大会の現地観戦を経て、2006年よりバルセロナへ移住。現在は様々な媒体に執筆している。
バルベルデは選手としてヨハン・クライフ率いるバルサでプレーした経験を持ち、リーガでの指導経験も豊富だ。現在率いるA・ビルバオのみならず、エスパニョールやバレンシアでも結果を出してきた安定感は抜群で、「この職業には珍しいほど普通の人」と関係者が揃って評するほど人間性も優れている。今シーズン終了時に現行契約が切れるため、違約金を払う必要もない。
それでも、最有力候補はウンスエで間違いないと見られている。
彼が現役時代にバルサに所属したのは、アンドニ・スビサレッタの控えGKに甘んじた2シーズンしかない。だが指導者としては、L・エンリケの右腕としてセルタとバルサで第二監督を務めてきただけでなく、フランク・ライカールト、ジョセップ・グアルディオラの指揮下でもバルサのGKコーチを経験している。
バルサの監督にはクラブ独自のプレー哲学を理解し、それをピッチ上で体現したうえで結果を出すことが求められる。近年はそれに加え、影響力を増し続けるリオネル・メッシらロッカールームの重鎮たちとも良好な関係を保つマネージメント能力も重要な要素となっている。
その点、ウンスエは断続的ながらも複数の監督とともに理論、実践の両面でバルサの哲学を掘り下げながら、多くのタイトルを勝ち取ってきた。L・エンリケ政権下では、決して良好とは言えない指揮官と中心選手の間に立って仲を取り持ってきただけに、選手たちの信頼も厚い。
監督としては、2部のヌマンシアを1シーズン、ラシン・サンタンデールを4か月しか率いた実績しかない。その経験不足を懸念する声もあるが、それはグアルディオラやティト・ビラノバ(2014年4月に癌で死去)の就任時にも言われたことだ。それに現時点ですでにL・エンリケとの二頭体制と言っても過言ではないほど、第二監督の枠を超えた責任を負っている。
「来シーズンも自転車に乗る時間があまりないことを望んでいるよ。少なくともそれが私の望みだ」
ウンスエは先日、ラジオのインタビュー中でそう言って来シーズンも現場に立ち続ける意向を口にしていた。相棒のL・エンリケが退任後すぐに新たなチームで働くとは考えにくいだけに、これは監督として独立する意思の表われと捉えて差し支えないだろう。
2012年夏、同じく内部昇格によるグアルディオラからビラノバへのバトンタッチが発表された際は、大きな驚きをもって受け止められた。今回は早くもウンスエの就任が既定路線として語られはじめているが、はたしてシーズン終了までに予想外の動きはあるだろうか。
文:工藤拓
【著者プロフィール】
1980年、東京都生まれ。桐光学園高、早稲田大学文学部卒。三浦知良に憧れて幼稚園からボールを蹴りはじめ、TVで欧州サッカー観戦三昧の日々を送った大学時代からフットボールライターを志す。その後EURO2004、W杯ドイツ大会の現地観戦を経て、2006年よりバルセロナへ移住。現在は様々な媒体に執筆している。