【コラム】ラニエリへの「非礼」で全国的人気を失ったレスターは復活できるのか?

カテゴリ:ワールド

山中忍

2017年02月28日

今後の指揮権は一体誰が握るのか?

2011年からレスターでアシスタントコーチを務めてきたシェイクスピア。リバプール戦の勝利で、正式監督に推す声も少なくないが……。 (C) Getty Images

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 もっとも、単なる降格候補としては、今節の勝利は意義の大きなものである。というのも、残留争いが熾烈を極めることが予想されているからだ。
 
 今節の勝利でレスターは15位に浮上したが、後半戦を19位と20位で迎えたハルとスウォンジーも試合内容に立ち直りの兆しが見られ、とりわけ後者は最下位から16位に浮上して降格圏を脱出している。逆に降格圏に落ちたクリスタル・パレスには、「残留請負監督」ことサム・アラダイスという心の支えがある。
 
 そうしたライバルたちの現状を考えれば、仮にレスターが今節にリバプールに敗れ、リーグ戦6連敗でデッドゾーンに落ちていれば、降格の有力候補と目されていたかもしれない。それほどまでに緊迫感のある状況にレスターは立たされているのだ。
 
 今後、メディアでは暫定監督のシェイクスピアを正監督に推す声も増えるだろう。「1試合だけの約束」と語る当人も、指揮を執る「意欲」と「自信」までは否定していない。
 
 新監督候補には、一昨シーズンまで監督だったナイジェル・ピアソンから名将フース・ヒディンクまで、バラエティに富む5、6名が噂される。しかし、監督が誰であれ、スカッド的にレスターの戦い方は限られている。やればできることを示した今節のように、「目一杯、堅守速攻で闘う」しかないのだ。
 
 理由はどうあれ、昨シーズンの王者らしいパフォーマンスを引き出した助監督は、母国が生んだ文豪で、ロミオとジュリエットなどで知られるウィリアム・シェイクスピアと同じ苗字としてもメディアに歓迎されている。
 
 もし、仮にこのまま指揮を続け、残留した暁には、「シェイクスピア」の手による「王者降格の悲劇回避」という物語として持ち上げられるはずだ。
 
 レスター界隈の観衆は、ラニエリ前監督が紡いだ昨シーズンの「シンデレラ・ストーリー」とは違う、新しいメイクドラマに心酔できることを望んでいるのだ。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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