【選手権】勝負勘が冴え渡る東海大仰星。彼らはなぜ勝てるのか?

カテゴリ:高校・ユース・その他

川原 崇(高校サッカーダイジェスト)

2017年01月03日

「日本一になってもまるで勘違いしてない」

開始8分、MF新保(9番)が先制点を奪う。早い時間帯で掴んだアドバンテージを最大限に活かし、危なげなく勝利を掴んだ。写真:徳原隆元

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 攻守両面における組織美にも、理由がある。
 
 大阪の強豪校はガンバ大阪やセレッソ大阪、ヴィッセル神戸、京都サンガのJリーグ4クラブの下部組織出身者が数多く、関西のみならず全国から逸材がその門を叩く。しかし、東海大仰星の場合はやや趣が異なる。Jクラブ出身の選手もいるにはいるが、それ以前にほとんどが地元出身者なのだ。校舎のある枚方市をはじめ、門真市や守口市、交野市など、いわゆる北河内でサッカーをしてきた選手ばかりで、少年時代からの顔馴染みが少なくない。
 
 左SBの面矢行斗(3年)は、「修二とは小学校のとき同じクラブでしたし、中学で分かれてもまた一緒になったりとか、けっこういます。昔から知ってる選手同士というのも、チームワークにひと役買ってると思いますね」と話してくれた。
 
 超が付くほどの激戦区を勝ち抜いたプライドと、研ぎ澄まされた勝負勘、そして、長い時間をかけて培われた連帯感が根底にある。だからだろう。全国大会での経験が皆無のチームながら、快進撃にも浮かれた様子はなく、しっかりと地に足がついている印象だ。
 
 キャプテンの松井はこんな話も聞かせてくれた。
 
「うちのラグビー部は去年日本一になったんですけど、まるで勘違いしていない。普段の生活態度が素晴らしくて、僕は主将と同じクラスなんですが、この1年はすごく刺激を受けました。吹奏楽部も全国的に有名で、身近にそういう存在がいるのってラッキーですよね」
 
 サッカー部は1月5日、初の選手権4強を懸けて、準々決勝で東福岡と対峙する。そして同じ日、全国連覇を狙うラグビー部も、大阪・花園で準決勝を戦う。大人気の吹奏楽部は大忙しの正月で、嬉しい悲鳴を上げているようだ。
 
 34歳の若き指揮官は、大阪サッカーの誇りを胸に臨む。
 
「大阪のいろんな指導者の方からお祝いの言葉をもらっています。僕なんて一番の若輩者なんですが、昔から本当に親切にしていただき、学ばせてもらってきました。みなさん、懐が深いんです。大阪の高校サッカーのためにも、ひとつでも多く勝ちたいですね」
 
 通算で5度優勝している大阪勢だが、最後に選手権を制したのは43年前、第52回大会(1973年度)の北陽(現関大北陽)までさかのぼる。まだ大会が関西開催だった時代だ。

 もし今大会で東海大仰星が戴冠すれば、北河内勢では初の快挙達成となる。
 
 
取材・文:川原崇(高校サッカーダイジェスト)
 
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