試合後のロッカールームでは、チームメイトと特別に言葉は交わさなかったという。「そんなに多くは語らなくていいかな」と話すのも、「長い間一緒にやってきた」ゆえに心が通じているからに他ならない。来季からはJ２の名古屋でプレーするが、やはり言葉に熱が帯びたのは、サンフレッチェ広島というクラブに話題が及んだ時だった。
 
「僕は来季から名古屋グランパスのためにプレーしていく。でも、サンフレッチェ広島のことは常に心の中にあるし、僕にとって特別なクラブに変わりはない。（森﨑）浩司も引退、自分も退団して、（広島は）クラブとして転換期にあると思います。自分を含め、今までチームを作ってきた選手たちが代わっていくなかで、今いる選手はサンフレッチェ広島というクラブを作って行かないといけない。彼らには、しっかりその責任と覚悟を持って戦っていってほしいです」
 
　佐藤は何度も「これで終わりじゃない」という言葉を繰り返した。それは選手としてはもちろん、広島に帰ってくる可能性もゼロではないと信じているからだろう。
 
「立ち止まった瞬間、その先はない。どれだけ歩みを続けることができるか。しっかり結果を出して、選手としてもう一度オファーを出してもらえるように成長していきたい」
 
　希代のストライカーの新たな挑戦は、もう始まっている。
 
取材・文：小田智史（サッカーダイジェスト編集部）

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