C・ロナウドの「賞味期限」は? 最大の鍵はメンタル面だ

カテゴリ:メガクラブ

ティモシー・スモール

2016年12月14日

謙虚さという美徳を学び、身に付けることができるか?

ゴール後に挑発的なパフォーマンスを披露するC・ロナウド。こうした自己顕示欲は彼の魅力ではあるが、謙虚さには欠ける行為でもある。 (C) Getty Images

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 現時点ではっきりと答を出すのは不可能。とはいえ、すでに認められる初期的な兆候が、決してポジティブなものではないのは明らかだ。
 
 実際、2016年秋の「CR7」は、2009年、あるいは2011年の「CR7」とは全く違う、とは言わないまでも大きく異なるプレーヤーだ。
 
 あの爆発的なスピードとパワー、切れ味鋭いアジリティー、目を見張るクイックネスは、もはや見ることができない。にもかかわらず、彼自身はまだその事実を認め、受け入れてはいないように見える。
 
 31歳になり、さまざまな部位がすり減ったり、緩んだり、歪んだりしはじめた“新しい”身体をどう受け入れ、どう付き合い、どう使いこなせばいいのかを、十分に理解してはいない。
 
 その意味で象徴的なのは、過去4シー ズンのリーガ・エスパニョーラでの「ドリブル」に関するデータ(※スタッツサイトの『Whoscored』参照)だ。
 
 2013-14 シーズンには1試合平均4回試みていたものが、3.2回、2.6回と減少し、今シーズンはそれが1.9回まで下がっている。2009-10シーズンには、1試合平均で6.2回もドリブル突破を試みていた事実を考えれば、その後の7年間で彼のプレースタイルはドラスティックな変化を遂げたと言える。
 
 さらに深刻なのは、試みたドリブルの成功率もまた低下してきていることだ。
 
 今シーズンは不成功(1.2回)が成功(0.7回)を上回っている。これは、自らの衰えをまだ現実と同じレベルで受け入れられずにいる兆候だ。
 
「CR7」の偉大さが、世界ナンバー1のフットボーラーになるため――その世界にはメッシという怪物がいるにもかかわらず――、自らの本能や限界を突き抜けようと努力しつづけるその姿勢にあるのも確かだ。
 
 かつてトリッキーなドリブル突破以外に興味がなかった生意気な若造は、キャリアを重ねるにつれて、ペナルティーエリア内でこぼれ球をねじ込んだり、ヘディングを競り合ったりする術を身につけた。
 
 それと引き換えに、ドリブル突破の回数を削り、ただひたすらゴールを決めるそれだけを目指してプレーするフットボーラーになった。
 
 そしていま、これまでのように切れ味鋭く応えてはくれない身体と付き合い、知らぬ間に消耗が早くなったエネルギーをうまく配分し、運動量をさらに減らし、その分効率を高めて同じ結果を出せるプレーの仕方を見つけ、それを身に付けなければならない。
 
 となると、最後にもうひとつの問いを発しないわけにはいかなくなる。フットボール史上もっとも高飛車で自信満々のナルシストである「CR7」は、はたして謙虚さという新たな美徳を学び、身に付けることができるのだろうか――。
 
文:ティモシー・スモール
翻訳:片野道郎
 
【著者プロフィール】
ティモシー・スモール/イタリアで大注目されているWEBマガジン『ウルティモ・ウオモ』の創始者にしてエディトリアル・ディレクター。2006年にカルチャー系WEBマガジン『VICE』イタリア版の創刊を手掛け、2014年に『ウルティモ・ウオモ』を創刊。ミラノ出身。イギリスとイタリアのハーフ。
 
※ワールドサッカーダイジェスト2016.12.15号より加筆・修正

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