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原口の運動量に象徴される“闘い”の強調。中東アウェー戦へ“決める体力”とのバランスをとりたい

カテゴリ:日本代表

加部 究

2016年11月17日

サウジはプレッシングの効きやすい相手だったが、シンプルな攻撃をされると日本は混乱に陥った。

次回から後半戦に突入するW杯最終予選。3月には開幕戦で苦杯を喫したUAEとのアウェー戦が控える。(C)SOCCER DIGEST

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 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は、世界の中の立ち位置を意識したチーム作りをしている。ワールドカップに出場した場合に、強豪国を脅かすための方法論を探って来た。現実を見据えたという意味では、2010年南アフリカ・ワールドカップでの岡田武史采配に近い。一方で川崎の風間八宏監督や、アンダーカテゴリーで日本代表を指揮してきた吉武博文監督、さらには年代別カテゴリーも含めたなでしこジャパンなどが追求したのは、日本人の特性や可能性を引き出すことだった。どちらが正解という話でもないし、両者は水と油でもない。世界を渡り歩くハリルホジッチ監督が現実的な結果を最優先するのは当たり前だし、夢を追う後者もデュエルを軽視してきたわけではない。現実と夢をバランス良くブレンドすることも不可能ではないだろう。
 
 そしてだからこそ日本協会は、ぶれない指針を示す必要がある。南ア大会を終えた時に、当時の原博実技術委員長は「さらに上を目指すために」軌道修正を図ったのだ。その時点の判断と現状に齟齬はないのか。せめて監督任命者は、結末を見届け検証を終えてから去る流れを作らなければ、責任の所在が曖昧な都庁の体質を笑えない。
 
 サウジはプレッシングが効きやすい相手だった。反面日本は、アディショナルタイムに入り割り切ってゴールへと迫るプレーに直面すると、一転して混乱に陥った。シンプルな攻撃への対応と心身のスタミナに課題が見え、そこが後半戦に控える中東での3戦への不安を残す。
 
 例えば原口元気は、まるで5バックのように長友佑都の外堀を埋め、再び前線へとスプリントを繰り返した。後半には最後尾で守備をした原口がブーメランのように最前線へと走り出し、長谷部誠がスルーパスを出すシーンがあったが、さすがに力尽きていた。闘いの強調が落ち着いた支配を削ぐことになっては本末転倒だ。「もっと冷静に決めなければ」と、ハリルホジッチ監督は言った。だが特に中東では、決める体力を残す効率的な戦い方も検討材料になる。いずれにしても再開直後のUAEとのアウェーが、今後の命運を大きく左右するはずである。
 
取材・文:加部 究(スポーツライター)
 
 
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