プロになるべく通信制に転入。授業では言葉の使い方にセンスを見せる。
その後、祐希は短期間で受験勉強に集中し、都立高校に合格する。ところが高校側は、頑なに学業最優先の姿勢を崩さない。中学3年時以降は、年代別日本代表の合宿などが増えてきていたが「あくまで日程通りに試験を受けなければ落第」と、まったく融通のつけ入る隙がなかった。
入学して、わずか1か月後、祐希から拓也に連絡が入った。
「やっぱり学園生活は、もう諦めるわ。とても無理だ」「だったら制服を作る前に言えよ」 「オレだって少しくらいは学園生活を送ってみたかったんだよ……」
これで退路は断たれた。通信制高校に転入した祐希は、完全にプロの道を邁進することになる。冨樫が記憶の糸を手繰り寄せる
「ウチには祐希と同じように通信制に切り替えた選手が何人かいたので、午前中は各コーチが交替で授業をしました。僕は映画を見せて感想文を書かせたり、ディスカッションをさせたりしていたんですが、映画鑑賞中にシーンとした部屋でシクシク泣き声が聞こえてくる。見れば祐希でした。でもどこで教わったわけでもないのに、感想文を書かせても面白かったし、ディスカッションでも言葉の組み立てなどに、とてもセンスを感じました。本当に喜怒哀楽がはっきりと表われる少年でした」
取材・文:加部 究(スポーツライター)
入学して、わずか1か月後、祐希から拓也に連絡が入った。
「やっぱり学園生活は、もう諦めるわ。とても無理だ」「だったら制服を作る前に言えよ」 「オレだって少しくらいは学園生活を送ってみたかったんだよ……」
これで退路は断たれた。通信制高校に転入した祐希は、完全にプロの道を邁進することになる。冨樫が記憶の糸を手繰り寄せる
「ウチには祐希と同じように通信制に切り替えた選手が何人かいたので、午前中は各コーチが交替で授業をしました。僕は映画を見せて感想文を書かせたり、ディスカッションをさせたりしていたんですが、映画鑑賞中にシーンとした部屋でシクシク泣き声が聞こえてくる。見れば祐希でした。でもどこで教わったわけでもないのに、感想文を書かせても面白かったし、ディスカッションでも言葉の組み立てなどに、とてもセンスを感じました。本当に喜怒哀楽がはっきりと表われる少年でした」
取材・文:加部 究(スポーツライター)