ハリルホジッチ監督は世界のなかでの日本の立ち位置は20年前と同じと見ているのかもしれない。
もともと就任のタイミングを考えれば、ハリルホジッチ監督は大筋で過去の人選を継続するしかなかった。逆に下の世代の突き上げがないのに、強引な代謝を図ればすでにワールドカップは遠退いていた可能性もある。実は中長期的に見れば、日本サッカーは育成面でさらに大きな問題を抱えており、それは代表監督を誰にするか、などよりずっと根深い。
ドイツが前世紀末の一時的な不振から復興を果たしたのが、育成改革に端を発しているのは周知の通りだ。今でもドイツは、定期的に「どんなサッカーを目指すから、こういう選手の育成を心がけてほしい」と全国の隅々にまで通達している。どの年代で何を優先し、最終的にどんな選手を育てて、どういうサッカーを描いていくのか。それをすべての関係者が共有し、足並みを揃えている。
だがドイツよりはるかに競技人口が少ない日本では、指導者間で肝の部分の共通認識がない。極端に言えば、選手を壊すためにグラウンドに立つような人物も目立ち、プレーヤーズ・ファーストさえも徹底されていない。この土壌の改善なくして大きな収穫は望めないのだ。
18年前に日本は初めてワールドカップに挑戦した。参加は32か国で「1勝1敗1分け」でグループリーグ突破を目指した岡田監督は、アルゼンチン、クロアチアとの連戦でなんとか勝点1を取るために入念な準備をした。どちらも1点差の惜敗。そこまでは悪い結果ではなかった。ところが勝点3を計算したジャマイカにも敗れてしまった。ただし当時の日本サッカーの経験値を考えれば、おそらくそれが精一杯だった。
今ハリルホジッチ監督が進めていることは、あまり当時と変わらないように映る。つまり指揮官は、世界のなかでの日本の立ち位置は、20年前と同じだと見ているのかもしれない。そしてそれが誤りだと反論するのは難しい。
取材・文:加部 究(スポーツライター)
ドイツが前世紀末の一時的な不振から復興を果たしたのが、育成改革に端を発しているのは周知の通りだ。今でもドイツは、定期的に「どんなサッカーを目指すから、こういう選手の育成を心がけてほしい」と全国の隅々にまで通達している。どの年代で何を優先し、最終的にどんな選手を育てて、どういうサッカーを描いていくのか。それをすべての関係者が共有し、足並みを揃えている。
だがドイツよりはるかに競技人口が少ない日本では、指導者間で肝の部分の共通認識がない。極端に言えば、選手を壊すためにグラウンドに立つような人物も目立ち、プレーヤーズ・ファーストさえも徹底されていない。この土壌の改善なくして大きな収穫は望めないのだ。
18年前に日本は初めてワールドカップに挑戦した。参加は32か国で「1勝1敗1分け」でグループリーグ突破を目指した岡田監督は、アルゼンチン、クロアチアとの連戦でなんとか勝点1を取るために入念な準備をした。どちらも1点差の惜敗。そこまでは悪い結果ではなかった。ところが勝点3を計算したジャマイカにも敗れてしまった。ただし当時の日本サッカーの経験値を考えれば、おそらくそれが精一杯だった。
今ハリルホジッチ監督が進めていることは、あまり当時と変わらないように映る。つまり指揮官は、世界のなかでの日本の立ち位置は、20年前と同じだと見ているのかもしれない。そしてそれが誤りだと反論するのは難しい。
取材・文:加部 究(スポーツライター)