“風間サッカー”を下部組織でも追求する態勢が整った。
変化が起きたのは2013年。現在もトップチームを率いる風間八宏監督の元でコーチを務めていた今野章が監督に就任してからだ。就任当初の時期を今野監督はこう振り返る。
「風間さんのサッカーを1年半くらい教わってから僕がユースに来たのですが、風間さんの言っているよう“止める、蹴る、外す”の部分は重要なので、それに近いというか、そこを教え込みながらアカデミーでもやっていこうとしました」
トップチームと同じサッカーを下部組織でも体現し、そこで選手を育てることで、トップ昇格を果たした際にその水にすぐ慣れるようにする。そういう意図が強く、明確に打ち出されたのがこの年だった。もちろん、それまでもトップに準ずるサッカーをしようという意図はクラブにあった。「今野さんになる前からトップのサッカーを一貫してやろうという考えはあって、それは言われていました」とは三好の言葉だ。
「ただ、」一言置いて、彼はこう続けた。
「そういう中で今野さんのようにトップを教えていたコーチがユースやジュニアユースに降りてきたことで、トップのサッカーをやろうという考えが明確に現われたと思います」
トップチームのサッカーを浸透させるうえで、トップでの指導経験を持つ人間が下部組織を率いるようになったのは大きかったはずだ。2012年にやはり風間監督のもとでトップチームのコーチを務めていた寺田周平が、その翌年から育成部に入り、2014年からU-15の監督を務めている。
選手自身もその“人事”から変化は感じたようで、板倉は「元々つなぐ意識を持ってやっていましたけど、徹底されたのは高2ですね。風間さんが監督になって一緒にやってきた今野さんとか元プロの人が降りてきてから。ジュニアユース(の指導)も周平さんになりましたし。そこから、トップと同じようにやろうという意識はありました」と振り返る。
そうした意図を持った取り組みのなかで、まだ年月は浅いものの、単に昇格選手が生まれるばかりでなく、トップチームでの成績面や代表入りという部分で成果が出ているのは、育成がより良い方向に進んでいることの証左と言える。
下から上まで“技術を重んじ、攻撃的であるフロンターレのサッカー”を体現し、強いクラブを作り上げる――。まずはトップチームの初戴冠を願うのが先だが、明確な育成の方向性を持って進むクラブの数年後、トップチームのメンバーに育成組織出身者が、何人も名前を連ねる時代がやってくるだろうか。現在で言えば柏レイソルが良き例になるが、そこに川崎も続きたいところである。
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)
「風間さんのサッカーを1年半くらい教わってから僕がユースに来たのですが、風間さんの言っているよう“止める、蹴る、外す”の部分は重要なので、それに近いというか、そこを教え込みながらアカデミーでもやっていこうとしました」
トップチームと同じサッカーを下部組織でも体現し、そこで選手を育てることで、トップ昇格を果たした際にその水にすぐ慣れるようにする。そういう意図が強く、明確に打ち出されたのがこの年だった。もちろん、それまでもトップに準ずるサッカーをしようという意図はクラブにあった。「今野さんになる前からトップのサッカーを一貫してやろうという考えはあって、それは言われていました」とは三好の言葉だ。
「ただ、」一言置いて、彼はこう続けた。
「そういう中で今野さんのようにトップを教えていたコーチがユースやジュニアユースに降りてきたことで、トップのサッカーをやろうという考えが明確に現われたと思います」
トップチームのサッカーを浸透させるうえで、トップでの指導経験を持つ人間が下部組織を率いるようになったのは大きかったはずだ。2012年にやはり風間監督のもとでトップチームのコーチを務めていた寺田周平が、その翌年から育成部に入り、2014年からU-15の監督を務めている。
選手自身もその“人事”から変化は感じたようで、板倉は「元々つなぐ意識を持ってやっていましたけど、徹底されたのは高2ですね。風間さんが監督になって一緒にやってきた今野さんとか元プロの人が降りてきてから。ジュニアユース(の指導)も周平さんになりましたし。そこから、トップと同じようにやろうという意識はありました」と振り返る。
そうした意図を持った取り組みのなかで、まだ年月は浅いものの、単に昇格選手が生まれるばかりでなく、トップチームでの成績面や代表入りという部分で成果が出ているのは、育成がより良い方向に進んでいることの証左と言える。
下から上まで“技術を重んじ、攻撃的であるフロンターレのサッカー”を体現し、強いクラブを作り上げる――。まずはトップチームの初戴冠を願うのが先だが、明確な育成の方向性を持って進むクラブの数年後、トップチームのメンバーに育成組織出身者が、何人も名前を連ねる時代がやってくるだろうか。現在で言えば柏レイソルが良き例になるが、そこに川崎も続きたいところである。
取材・文:竹中玲央奈(フリーライター)