UAE戦の敗因はコンディションの悪さ 。
識者3 後藤健生氏の回答
Q:日本は本当に弱くなっているのか? A:いいえ
昨年のアジアカップではUAE相手に一方 的に押し込みながら、カウンターで先制され、なんとか同点にはしたもののPK戦で敗れてしまった。望ましいことではないが、そういう負け方なら想像はできる。
だが、早い時間帯に先制しながら試合の進め方を誤り、逆転されるなど決してあってはならない負け方だ。ただ、その事実をもって「昨年より弱くなった」と断ずることはできない。埼玉でのUAE戦では海外組のコンディションの悪さが 最大の敗因だったからだ。
チームとしてトレーニングの時間も持てたアジアカップの時と比べるには、あまりに条件が違いすぎる。しかし、「強くなっているか」と問われれば、答は明らかに「NO」だ。アジアカップはアギーレ前監督の就任からわずか半年で迎えたのに対して、ハリルホジッチ監督は就任からすでに1年半が経過し、2次予選もともに戦ってきたはず。本来ならアジアカップより強くなっていて当然だろう。
今後も海外組を含めた合宿を実施する時間などないのだから、急速にチームを強化できるとも思えない。その時点でコンディションの良い選手を使い、ベテランの力を借りながら最終予選を乗り切るしか方法はないだろう。
9月の2試合でアジアの予選の厳しさは身に染みたはず。監督に求めるのは、その時々の選手のコンディションの見極めと、本田や香川といった主力といえども、状態が悪ければメンバーから外す決断力だけだ。
PROFILE
ごとう・たけお/1952年生まれ、東京都出身。慶応大学法学部大学院修了。64年の東京五輪をきっかけにサッカーの虜となり、ワールドカップは74年の西ドイツ大会から欠かすことなく取材している。
識者4●浅田真樹氏の回答
Q:日本は本当に弱くなっているのか? A:はい
現在の日本代表は、アジアカップ当時より弱くなっているばかりか、それ以前から〝ず っと弱くなり続けている〞。おそらく強さのピークはザッケローニ時代の11年夏から12年夏頃。「たられば」の話だが、もしワールドカップが12年に行なわれていれば、日本はベスト8を十分に狙えたと思う。当時からすでにチームが完成するのが早すぎるとは感じていたが、案の定、徐々に下降線を辿り、現在に至っている。
理由は単純。主たる選手が入れ替わっていないからだ。本田、長友、岡崎ら北京世代は 10年のワールドカップ当時、まだ20代前半で伸びしろが十分にあった。同じメンバーで戦い続けることでチームの成熟もあったが、個々の強化によって日本代表は強くなった。
だが、16年現在、北京世代は30歳前後となり、伸びしろを期待するどころか、むしろ衰えを心配する年齢になった。経験によるプラスアルファはあるにせよ、今後飛躍的な成長はありえない。このまま手をこまねいていれば、ジリ貧になることは目に見えている。
やはり清武を旗頭とするロンドン世代が中心となり、大島、浅野らのリオ世代を加え、 北京世代が随所でアクセントになるくらいが、日本代表の将来を考えても理想的な年齢構成 だろう。世代交代によって、一時的に多少弱くなったとしても、このままでは悪化の一途を辿るだけ。北京世代に頼り続けることは、問題の先送りに過ぎない。
PROFILE
あさだ・まさき/1967年生まれ、新潟県出身。6大会連続で現場取材中のワールドカップをはじめ、国内外を問わず精力的に動き回る。また、アンダー世代も追い、若年層の取り組みにも造詣が深い。
Q:日本は本当に弱くなっているのか? A:いいえ
昨年のアジアカップではUAE相手に一方 的に押し込みながら、カウンターで先制され、なんとか同点にはしたもののPK戦で敗れてしまった。望ましいことではないが、そういう負け方なら想像はできる。
だが、早い時間帯に先制しながら試合の進め方を誤り、逆転されるなど決してあってはならない負け方だ。ただ、その事実をもって「昨年より弱くなった」と断ずることはできない。埼玉でのUAE戦では海外組のコンディションの悪さが 最大の敗因だったからだ。
チームとしてトレーニングの時間も持てたアジアカップの時と比べるには、あまりに条件が違いすぎる。しかし、「強くなっているか」と問われれば、答は明らかに「NO」だ。アジアカップはアギーレ前監督の就任からわずか半年で迎えたのに対して、ハリルホジッチ監督は就任からすでに1年半が経過し、2次予選もともに戦ってきたはず。本来ならアジアカップより強くなっていて当然だろう。
今後も海外組を含めた合宿を実施する時間などないのだから、急速にチームを強化できるとも思えない。その時点でコンディションの良い選手を使い、ベテランの力を借りながら最終予選を乗り切るしか方法はないだろう。
9月の2試合でアジアの予選の厳しさは身に染みたはず。監督に求めるのは、その時々の選手のコンディションの見極めと、本田や香川といった主力といえども、状態が悪ければメンバーから外す決断力だけだ。
PROFILE
ごとう・たけお/1952年生まれ、東京都出身。慶応大学法学部大学院修了。64年の東京五輪をきっかけにサッカーの虜となり、ワールドカップは74年の西ドイツ大会から欠かすことなく取材している。
識者4●浅田真樹氏の回答
Q:日本は本当に弱くなっているのか? A:はい
現在の日本代表は、アジアカップ当時より弱くなっているばかりか、それ以前から〝ず っと弱くなり続けている〞。おそらく強さのピークはザッケローニ時代の11年夏から12年夏頃。「たられば」の話だが、もしワールドカップが12年に行なわれていれば、日本はベスト8を十分に狙えたと思う。当時からすでにチームが完成するのが早すぎるとは感じていたが、案の定、徐々に下降線を辿り、現在に至っている。
理由は単純。主たる選手が入れ替わっていないからだ。本田、長友、岡崎ら北京世代は 10年のワールドカップ当時、まだ20代前半で伸びしろが十分にあった。同じメンバーで戦い続けることでチームの成熟もあったが、個々の強化によって日本代表は強くなった。
だが、16年現在、北京世代は30歳前後となり、伸びしろを期待するどころか、むしろ衰えを心配する年齢になった。経験によるプラスアルファはあるにせよ、今後飛躍的な成長はありえない。このまま手をこまねいていれば、ジリ貧になることは目に見えている。
やはり清武を旗頭とするロンドン世代が中心となり、大島、浅野らのリオ世代を加え、 北京世代が随所でアクセントになるくらいが、日本代表の将来を考えても理想的な年齢構成 だろう。世代交代によって、一時的に多少弱くなったとしても、このままでは悪化の一途を辿るだけ。北京世代に頼り続けることは、問題の先送りに過ぎない。
PROFILE
あさだ・まさき/1967年生まれ、新潟県出身。6大会連続で現場取材中のワールドカップをはじめ、国内外を問わず精力的に動き回る。また、アンダー世代も追い、若年層の取り組みにも造詣が深い。

9月21日発売号のサッカーダイジェストの特集は「日本はワールドカップに辿り着けるのか」。ハリルジャパンの危機説を、「本当に日本は弱くなかったのか?」など“10の論点”から検証します。ルーツ探訪では小林祐希選手が登場。