【ミラン番記者】本田圭佑のレギュラー奪取はエベレスト登頂並みの難関だ

カテゴリ:海外日本人

マルコ・パソット

2016年09月09日

モンテッラが求めるスピードと創造性が本田には…。

メルカート閉鎖間際にフィオレンティーナからミランにレンタル移籍したM・フェルナンデス。場合によってはこの技巧派も本田のライバルに。(C)Getty Images

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 こういったミランを取り巻く状況すべてを鑑みると、「この1年が本田圭佑のミランにおける最後のシーズン」と考えるのが、まず妥当だろう。
 
 いくつかのメディアは、この夏に本田がミランを出て行くと主張していたが、今回もそれは単なる噂に終わった。このままいけば本田は、2014年1月にCSKAモスクワからミランに来た時と同様、契約満了の移籍金ゼロで来夏に退団するだろう。
 
 ミランとの契約更新は、現時点でいくつかの理由からまず考えられない。中でも一番大きな理由が、監督の意向だ。そう、今夏に招聘されたヴィンチェンツォ・モンテッラは、これまで本田がミランで出会った監督の中で、一番彼のプロフェッショナル魂に“鈍感”な指揮官だ。
 
 監督であれば誰もが、真面目に、懸命に日々のトレーニングに取り組む選手を高く評価する。しかし、モンテッラにはそれだけでは不十分だ。彼は配下のアタッカーに、胡椒の実のようなピリリとした才気煥発、つまりスピードと創造性を求める。本田には備わっていない能力だ。
 
 ミラネッロ(ミランの練習場)のスタッフたちから漏れ聞こえる話によると、モンテッラは本田をこう評しているという。
 
「このホンダ車はあまりにもキャブレターの回転が遅い」
 
 実際、今のミランには即座にフルスロットになるマシンが求められている。本田を尻目に先発を張っているスソやエムバイ・ニアングのような。
 
 現時点で本田の置かれた状況は、ざっとこんな感じだが、新加入選手たちをモンテッラがどう評価するかでこれからさらに変化しうる。
 
 ソサはリッカルド・モントリーボと併用でレジスタ(司令塔)もしくはインサイドハーフ、パシャリッチはインサイドハーフでの起用をモンテッラは考えている。
 
 そう考えると、本田にとってもっとも脅威になりそうなのが、メルカート最終日に獲得したM・フェルナンデスだ。この技巧派の本職はトップ下だが、レジスタ、インサイドハーフ、そして右ウイングでも起用できる。
 
 ご存知のとおり、いま右ウイングで主力を張っているのがスソで、二番手が本田。しかし、そこにM・フェルナンデスが入ってくれば、この序列に小さくない変化が生じるかもしれない。残念ながらM・フェルナンデスは先のワールドカップ予選で全治1か月の怪我を負ったが、強力なライバルであることに変わりはない。
 
 とにかく、今シーズンは本田にとって、これまで以上にライバルの多い困難なシーズンになりそうだ。現時点でレギュラーを取りはエベレスト登頂並みの難関だ。
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