【リーガ・エスパニョーラ移籍市場総括】各クラブが身の丈に合った補強を展開した今夏

カテゴリ:ワールド

下村正幸

2016年09月02日

バレンシアに見る、外国人オーナーによる買収で生じるリスク。

不動のストライカーだったパコ・アルカセルをバルサに売り払ったことで、バレンシア・サポーターの怒りは爆発した。 (C) Getty Images

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 リーガといえば、数年前までは杜撰な経営が原因で、破産法の適用を申請するクラブが続出したが、現在は各自が収入を超えない範囲で予算を組むようスペイン・プロサッカーリーグ連盟(LFP)により規制されている。
 
 中下位クラブでは、ベティスのアントニオ・サナブリア(750万ユーロ)、デポルティボのフロリン・アンドネ(400万ユーロ)、アラベスのダニエル・トーレス(300万ユーロ※非公式)といった、近年には稀な大金を投じての獲得もあったが、これはテレビ放映権の分配法見直しによる収入増加が背景にある。
 
 もっとも、全体を見渡せばまだまだレンタル移籍が少なくなく、厳しい台所事情も見え隠れする。
 
 つまるところ、各クラブがそれぞれの許容範囲のなかで、創意工夫を凝らしながら理想の補強を模索して実現するという、過去の失敗を教訓にして徐々に正常化への道程を辿りつつあるというのが、リーガ・メルカートの現状と言えるだろう。
 
 そんななか、LFPの監視を受けることに変わりはないが、外国人大富豪により買収されたクラブは、彼らのポケットマネーで賄えるという部分において、違った文脈で捉える必要がある。
 
 ただ、逆に言えばこれらのクラブは、オーナーの鶴の一声で全てが決するリスクと常に隣合わせにある。
 
 今夏も、それぞれ中国資本の傘下に入ったエスパニョールとグラナダの2クラブは、前者が大型補強を展開した一方で、後者は新戦力の大半がレンタル移籍で(新戦力17人中13人)、最終日に5選手を獲得するという例年以上の駆け込み補強ぶりだった。
 
 シンガポール人実業家のピーター・リムオーナーが就任当初、「ビッグ2に近づいてみせる」と息巻いていたバレンシアに至っては、シュコドラン・ムスタフィ、アンドレ・ゴメス、パコ・アルカセルと、各ポジションの柱を揃って売却している。
 
 欧州カップ戦に出場できないことによる収入減と無関係ではないが、とりわけ生え抜きでクラブのシンボル的存在だったアルカセルの放出は、ファン感情を無視したものであり、ビジネスライクに物事を進める外国人オーナーにクラブの経営権を握られることの危険性を示している。

2016年夏に新天地を求めた主な選手を移籍写真で紹介!
 
文:下村 正幸
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