ポジションは消えても、違ったかたちで“魔法”は生き残る。
かつてのトップ下選手は、ほぼ完全に消えた。
確かに、イタリアでは4-3-1-2のようなかたちでトップ下が重視されているし、4-2-3-1を採用するチームも少なくない。しかし昔のように、創造的プレーを求められると同時に自由を与えられていたトップ下とは一線を画す。
「2トップを追い抜いて得点チャンスに絡む」
それが現代のイタリア式トップ下に求められる動きで、ファンタジスタといわれたトップ下とは本質が異なる。
オリジナルのトップ下的プレーヤーは時代の流れに翻弄され、辛酸をなめている。
昨シーズンで引退したファン・カルロス・バレロン、ローマで現役を続けるフランチェスコ・トッティは、最後のトップ下と言えるだろうか。
スペイン代表のイスコ、コロンビア代表のハメス・ロドリゲスは、レアル・マドリーでポジションがない状況に陥っている。監督が、あのジダンであるにもかかわらず、だ。
果たして、トップ下はこのまま絶滅するのか?
未来を予言することはできない。ただ、違ったかたちで“魔法”は生き残るのではないか。それは無二の才能であり、守備を切り崩すのに有効な手段だからである。最近になって2トップが復活したように、システムも変わりゆく。
「昔の名プレーヤーは現代では通用しないといわれるが、そんなことはない。優れた選手は環境に順応できる。フットボールをも進化させる」
かつて、名将ヨハン・クライフが言ったように、トップ下は時代に順応し、旗手となるのかもしれない。それがどんなプレースタイルになるとしても――。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
小宮 良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
確かに、イタリアでは4-3-1-2のようなかたちでトップ下が重視されているし、4-2-3-1を採用するチームも少なくない。しかし昔のように、創造的プレーを求められると同時に自由を与えられていたトップ下とは一線を画す。
「2トップを追い抜いて得点チャンスに絡む」
それが現代のイタリア式トップ下に求められる動きで、ファンタジスタといわれたトップ下とは本質が異なる。
オリジナルのトップ下的プレーヤーは時代の流れに翻弄され、辛酸をなめている。
昨シーズンで引退したファン・カルロス・バレロン、ローマで現役を続けるフランチェスコ・トッティは、最後のトップ下と言えるだろうか。
スペイン代表のイスコ、コロンビア代表のハメス・ロドリゲスは、レアル・マドリーでポジションがない状況に陥っている。監督が、あのジダンであるにもかかわらず、だ。
果たして、トップ下はこのまま絶滅するのか?
未来を予言することはできない。ただ、違ったかたちで“魔法”は生き残るのではないか。それは無二の才能であり、守備を切り崩すのに有効な手段だからである。最近になって2トップが復活したように、システムも変わりゆく。
「昔の名プレーヤーは現代では通用しないといわれるが、そんなことはない。優れた選手は環境に順応できる。フットボールをも進化させる」
かつて、名将ヨハン・クライフが言ったように、トップ下は時代に順応し、旗手となるのかもしれない。それがどんなプレースタイルになるとしても――。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
小宮 良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。