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「サッカー選手はサッカーだけするのがすべてではない」人を笑顔にさせ、ピッチ内外で輝きJ1通算300試合出場。改めて振り返る登里享平の貴重な17年の道のり

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年11月28日

スタッフも称賛する姿勢

川崎サポーターからも愛される存在だ。昨年、等々力でのゲームでの試合後には再会を果たした。(C)SOCCER DIGEST

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 言葉どおり、難しい時期でも明るく振る舞い、周囲を盛り上げる。その姿が彼の何よりの真骨頂だ。そこには温かく見守ってくれた両親の影響もあったのだろう。

「小学校や中学校授業では『もうほんまに頼むから黙ってくれ』って先生から言われる生徒でした(笑)。でも、サッカーになると黙って話を聞くことができた。そこは今につながっているのかなとも感じます。その点では自分の息子も落ち着きがなく、『俺が電話している時くらい1分でいいから静かにしてくれ』って言っていますね。オカンに聞いたら『僕の小さい時にもうほんまにそっくり』だって(笑)。

 おとんも話好きやけど、おかんはもうずっと喋っている(笑)。その姿を見ていたら、みんなも自分のことをそういう風に感じているのかなとも思いますね(笑)」

 冗談っぽく笑うが、その話術が、ポジティブな性格が、疎まれることはない。C大阪の広報スタッフもその姿に感銘を受けているという。

「クラブの広報活動などを嫌な顔ひとつせずに積極的に協力してくれる。こんな選手なかなか出会ったことがない」

「キャンプの時って身体的にも精神的にもみんなキツイ。でもノボリさんは、クラブを盛り上げられるならと、なんでも協力してくれる」

 そこにはひとつの矜持があるという。

「やっぱり、サッカー選手はサッカーだけするのがすべてではない。そういう環境の川崎で育ったのが大きかったですね。ケンゴさん(中村憲剛)も体現していましたが、本当にそうだと思いますし、クラブの魅力や選手のパーソナリティの部分を知りたいというファンの方はいるはずで、そういう方々が、どこまで何を求めているのかは常に考え、頭を動かしています。だって選手のピッチ外の姿って、なかなか外部の人には伝わりにくいじゃないですか。

 その意識を持てたという点では川崎には感謝しかないですね。川崎での経験が今の僕を作り上げてくれている。そうして得てきたモノにプラスアルファしてセレッソでも取り組んでいますが、根本的には川崎で学んだことがやっぱり大きいですね。

 だからこそ、ファン感もそうですし、デジっち(「やべっちスタジアム」の開幕前の恒例企画)などもそうですが、クラブの中身やクラブの色が見える企画は、大事にしないといけないと思っています。

 メインはピッチ内、サッカーのパフォーマンスですが、周囲の人から何を求められているのかを感じ取る力もプロ選手には必要だと思うんです。だからより求められるなら、僕はもっとピッチ外の活動にも携わりたい。ただ一方で僕らはあくまでサッカー選手なので、出過ぎてもダメ。そこの塩梅も難しいですよね。あくまで、誰が主役かっていうのも考えなくちゃいけないですから。

 そういう考えをもとに取り組んだひとつの形がデジっちで、出すぎないようにしていましたが、結果自分が一番出る形になっていた(笑)。でも自分にとっての面白いこと、好きなことで、周囲の方の期待に応えたいって常に思っているからこそ、取り組めました。

 ただ先ほども話したとおり、セレッソになんで来たかというと、優勝を掴むため。だからそこの期待には応えられていない。みなさんのいずれの期待にも応えられるように今後もやっていきたいですね」
 話を聞けば、今季のキャンプ途中で怪我を抱えてしまった登里は、「みんな厳しいトレーニングで大変だから自分がやる」と、恒例のデジっちを含め、PR活動を自発的に受け持ち、新シーズンに向けてC大阪の魅力を少しでも発信しようと取り組んだという。

 キャンプでの出遅れは選手にとって痛すぎるが、悲観するでもなく、クラブのために動く姿にスタッフも「自分もしんどいはずなのに頭が下がる」と言葉を寄せる。

 誤解のないきように言いたいのは登里は誰よりも真摯にトレーニングに励み、準備を怠らず、ピッチに立てばSBとしていぶし銀の輝きを放ち、そのうえで周囲を常に気にかけながら「別腹ですから」とPR企画にも積極的に参加していることだ。

 サッカー選手とはピッチで魅せるものという考え方もある。一方で、地域との絆を大切にするJリーグにおいて「サッカー選手はサッカーだけするのがすべてではない」という考えを貫けるのは、よりエネルギーと勇気がいることだろう。その考えを実践する姿はやはり印象深い。

第3回に続く

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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