マンチーニに対して選手から不信感が募っていたとも…。

マンチーニの後任になることが濃厚なフランク・デブール。クラブが掲げる若手重視のチーム作りに合致する人材とはいえ、セリエA開幕まで2週間を切っている。簡単ではないチャレンジだ。(C)Getty Images
クラブ側の不信は、エリック・トヒル会長自身が募らせていたようだ。もともと理想の監督像は、若手有望株を育てながら戦える育成型と見られており、マンチーニの後任監督就任が確実視されるフランク・デブール(前アヤックス監督)であれば、イメージは合致する。
FFPの制約により段階的な強化以外はありえない過渡期のインテルに、個々のエゴが強い陣容をカリスマで束ねるタイプのマンチーニはミスマッチだったとも言える。肝心のカリスマ自体、おそらく十分ではなかったはずだ。
トヒル会長との足並みが揃っていなかったのは、6月の株式譲渡により最大株主となった中国資本もそうだろう。契約が17年6月までとなっていたマンチーニへの態度からして、異なっていた。契約更新を急がず、新シーズン序盤の推移を判断材料とする方針だったトヒルに対し、中国資本は7月末に19年6月までの新契約をマンチーニに申し出たと言われている。しかも、その新契約に含まれていた条件が、マンチーニにとっては承服しがたいものだったに違いない。強化権限の剥奪が特約事項として明記されていたというのだから。
指揮官の去就が一向に定まらず、浮き足立ったままの状態で有力クラブとのプレシーズンマッチに臨んだインテルは、7月24日のパリ・サンジェルマン戦に1-3で、7月30日のバイエルン・ミュンヘン戦に1-4で敗れ、マンチーニとの契約解除の3日前には決定的な大敗を喫してしまう。大量6ゴールを奪われた8月5日のトッテナム・ホットスパー戦の結果(1-6)は、いかにプレシーズンマッチとはいえ、事態を大きく動かす引き金となったはずだ。
ピッチ外の諸問題に神経をすり減らし、指揮官としての職務に熱が入らないマンチーニには、選手からの不信感すら生まれていたという話もある。
トヒル会長にとっては、おそらく想定内の契約解除だろう。だとすれば、決断を引き延ばした罪は、あまりにも重すぎる。セリエA開幕の8月21日まで、もう2週間を切っているのだ。
文:手嶋真彦
FFPの制約により段階的な強化以外はありえない過渡期のインテルに、個々のエゴが強い陣容をカリスマで束ねるタイプのマンチーニはミスマッチだったとも言える。肝心のカリスマ自体、おそらく十分ではなかったはずだ。
トヒル会長との足並みが揃っていなかったのは、6月の株式譲渡により最大株主となった中国資本もそうだろう。契約が17年6月までとなっていたマンチーニへの態度からして、異なっていた。契約更新を急がず、新シーズン序盤の推移を判断材料とする方針だったトヒルに対し、中国資本は7月末に19年6月までの新契約をマンチーニに申し出たと言われている。しかも、その新契約に含まれていた条件が、マンチーニにとっては承服しがたいものだったに違いない。強化権限の剥奪が特約事項として明記されていたというのだから。
指揮官の去就が一向に定まらず、浮き足立ったままの状態で有力クラブとのプレシーズンマッチに臨んだインテルは、7月24日のパリ・サンジェルマン戦に1-3で、7月30日のバイエルン・ミュンヘン戦に1-4で敗れ、マンチーニとの契約解除の3日前には決定的な大敗を喫してしまう。大量6ゴールを奪われた8月5日のトッテナム・ホットスパー戦の結果(1-6)は、いかにプレシーズンマッチとはいえ、事態を大きく動かす引き金となったはずだ。
ピッチ外の諸問題に神経をすり減らし、指揮官としての職務に熱が入らないマンチーニには、選手からの不信感すら生まれていたという話もある。
トヒル会長にとっては、おそらく想定内の契約解除だろう。だとすれば、決断を引き延ばした罪は、あまりにも重すぎる。セリエA開幕の8月21日まで、もう2週間を切っているのだ。
文:手嶋真彦