「100回詰めて、1回入るかどうか。でも、100回すべて全力で懸けて詰めていなければ、決められないゴールだった」
その言葉は一方で、あらゆる状況を想定してゴールチャンスに備えなければならない――。あらゆるゴールシーンに共通して言えるストライカーとしての教訓とも言えた。
一方、柏戦に続いて68分に、関根のシュートの弾き出されたボールに対し“あとは決めるだけ”のシュートを大きくふかしてしまった。今回はシュートを打つ瞬間、芝生の窪みによってボールの軌道が微妙に変わってしまったことも影響したが、そこを決め切ってくると、脅威は一段と増すはずだ。なにより、まだチーム内でも不動と言える地位を築けていない。
「疲労を考慮してスタメンを外されたが、やはり悔しかった。でも今回は監督の狙いどおり。久々の1トップ(3-4-2-1の頂点)で、足もとで受けたり、裏に抜けたり、スペースを作ったり、ズラタンや(興梠)慎三とは違う形で、FW李忠成を見せていきたい」
興梠と遠藤航が不在のなか、李がCFの位置で機能したのは――しかも鹿島相手に、浦和にとっても大きな収穫だ。
「全員で力を合わせて掴めた勝利。これからも連勝街道を突き進みたい」
浦和は次節、7月30日に再びアウェーで甲府と対戦する(18時、中銀スタ)。
ただ、対戦相手がどこだろうと、対峙するDFが誰だろうと、再び李は味方がシュートを放つ度に、全力でゴール前へ詰める。この日のように、いつか報われる一瞬のために、再び1%にも及ばないビッグチャンスに懸けて――。
取材・文●塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)