鹿島アントラーズ 1-2 浦和レッズ/7月23日/県立カシマサッカースタジアム
鹿島対浦和の大一番で鍵を握ったのが、今季から10番を託された柴崎岳と柏木陽介、両ゲームメイカーの「直接対決」だった。ふたりのパフォーマンスの差が、結果を左右したと言えた。
前半はボランチ同士でマッチアップする構図となった。鹿島の守備時には柴崎が柏木にマンマーク気味で対応。パス回しの中心となる浦和の10番に、前を向いて仕事をさせないように素早いチェックを怠らなかった。
鹿島はボール奪取から縦に鋭く仕掛ける攻撃を繰り返す。一方、浦和は守備に追われ、自陣で釘付けにさせた。リオ五輪代表に選出された興梠慎三と遠藤航をこの日から欠く影響があったとはいえ、浦和が立ち上がりから、ボールが収まらず、パスが回らず、ここまで防戦を強いられたのは、今季初めてだった。
柏木も「前半は良くなかった。相手の思うツボ。4枚(4バック)で固められた時に、どうしても『横に、横に』という展開で、パスを“回させられていた”。岳も小笠原さんも真ん中を固めて、厳しくきていた」と振り返っている。
攻撃の形を作れないアウェーチームは後半開始と同時に、CFをズラタンから李忠成に代える。すると、「久々のCFでのプレー。ゴールを決めることしか考えていなかった」と語る李が、フリーランから揺さぶりをかけ、前線でボールを収め出す。浦和が徐々に挽回し、チャンスも増え出していった。
57分、ペトロヴィッチ監督は早くも2枚目のカードを切り、青木拓矢を送り出す。青木がボランチ、そして柏木がシャドーにシフト。敵陣でより多くボールを収め、攻勢を強めようとした。しかし――。
先制したのは鹿島だった。59分、右サイドからパスを受けた柴崎が逆サイドに展開。金崎夢生とともに左サイドを打開した山本脩斗のクロスに、FW土居聖真が飛び込みつま先で合わせてボールの軌道を少し変えて、ゴールネットを揺らす。
試合巧者ぶりは、やはり鹿島が一枚上か――。そう思わせる試合の流れだった。
それでも柏木は鹿島陣内の“盲点”に気付いていた。「焦りはなかった」と言う。
【J1採点&寸評】鹿島×浦和|落球の曽ヶ端に最低点4.5。逆転2ゴールの李に最高点