ムリキをスタメンで起用するリスクとリターンは見合っていない。
とりわけ、非効率性が目についたのはムリキだろう。体力を温存してカウンターに備えながらも、GKとの1対1を外した64分のシーンは言語道断。さらに、遅攻時も周囲との有機的な絡みがなく、攻撃に迫力を与えられなかった。
ムリキのプレーを振り返ると、いかに機能していなかったかが分かる。自由にポジションチェンジするこのFWは、ビルドアップ時に頻繁にボランチの位置まで下がってボールを受けていた。そのために前線の枚数が少なくなり、バイタルエリアで起点になるFWがN・バーンズひとりに。そのN・バーンズも裏を狙う傾向が強かったため、FC東京は高い位置でタメを作ることが、ほとんどできなかった。
先の河野の発言も、ここにつながる。
「(2トップの)1枚は絶対に真ん中にいてくれないと(攻撃するのは)難しい。開いたら開きっぱなしで、動き直しとかも少ない」
右サイドで河野がボールを持った際、基本的にN・バーンズは最終ラインの裏を狙うか、河野の前のスペースに流れてCBの1枚を引きつけ、バイタルエリアのスペースを空ける。本来ならこの時、河野にはN・バーンズへの縦パスと、空いたバイタルエリアへのくさびのパスというふたつの選択肢があるはずだ。
しかし、そのバイタルエリアには誰もいない。前述のとおり、ムリキがポジションチェンジして持ち場を離れているからである。
今のFC東京は守備に重心をおいている分、前線の4枚だけで攻撃を完結させる場合が多いように感じる。にも関わらず、その4枚のコンビネーションが噛み合っていないのは、致命傷と言えるだろう。
なにも、ムリキひとりを批判しているわけではない。彼を活かす土台ができれば、あるいは期待に応える働きを見せるかもしれない。
しかし、少なくともこの試合では、彼がポテンシャルを発揮する場面は、非常に限定的だった。であれば、守備のタスクを十分にこなせないブラジル人は切り札としてベンチに置き、前線で起点になれるFWを入れて2列目との連動性を高めるのもひとつの手だ。
第2ステージの5試合で1勝4分の4得点・7失点という数字を見ても、ムリキをスタメンで起用するリスクとリターンは見合っていない。それでも城福監督が頑なに先発起用を続けるのであれば、前線の4枚の共通理解を高める作業にいち早く着手すべきだろう。
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェストWEB編集部)
ムリキのプレーを振り返ると、いかに機能していなかったかが分かる。自由にポジションチェンジするこのFWは、ビルドアップ時に頻繁にボランチの位置まで下がってボールを受けていた。そのために前線の枚数が少なくなり、バイタルエリアで起点になるFWがN・バーンズひとりに。そのN・バーンズも裏を狙う傾向が強かったため、FC東京は高い位置でタメを作ることが、ほとんどできなかった。
先の河野の発言も、ここにつながる。
「(2トップの)1枚は絶対に真ん中にいてくれないと(攻撃するのは)難しい。開いたら開きっぱなしで、動き直しとかも少ない」
右サイドで河野がボールを持った際、基本的にN・バーンズは最終ラインの裏を狙うか、河野の前のスペースに流れてCBの1枚を引きつけ、バイタルエリアのスペースを空ける。本来ならこの時、河野にはN・バーンズへの縦パスと、空いたバイタルエリアへのくさびのパスというふたつの選択肢があるはずだ。
しかし、そのバイタルエリアには誰もいない。前述のとおり、ムリキがポジションチェンジして持ち場を離れているからである。
今のFC東京は守備に重心をおいている分、前線の4枚だけで攻撃を完結させる場合が多いように感じる。にも関わらず、その4枚のコンビネーションが噛み合っていないのは、致命傷と言えるだろう。
なにも、ムリキひとりを批判しているわけではない。彼を活かす土台ができれば、あるいは期待に応える働きを見せるかもしれない。
しかし、少なくともこの試合では、彼がポテンシャルを発揮する場面は、非常に限定的だった。であれば、守備のタスクを十分にこなせないブラジル人は切り札としてベンチに置き、前線で起点になれるFWを入れて2列目との連動性を高めるのもひとつの手だ。
第2ステージの5試合で1勝4分の4得点・7失点という数字を見ても、ムリキをスタメンで起用するリスクとリターンは見合っていない。それでも城福監督が頑なに先発起用を続けるのであれば、前線の4枚の共通理解を高める作業にいち早く着手すべきだろう。
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェストWEB編集部)