久保自身が自己分析する通り、彼は確かに明るく社交的なキャラクターを持っている。小学生時代からスペインに渡り、エゴの強い外国人の少年たちと渡り合ってきたのだから、メンタル的にタフになるのは当然のこと。圧倒的な個の力で周りを納得させることにも努めてきただろう。

　そういう野心を今は若い世代が抱いているはず。久保はそれを理解しつつ、彼らの力を引き出すように仕向けていかなければいけない。今回、そういうアクションを起こし、勝利の原動力になってくれれば、日本代表の大きなプラスになる。

　24歳という年齢を考えても、久保はもはや若手ではない。周りを動かし、組織としてスムーズに動かしていく領域に達しなければいけないのだ。
 

　2019年６月の代表デビュー以来、久保は吉田麻也（LAギャラクシー）、遠藤といったキャプテンに師事してきた。今は元主将の長谷部誠コーチも近くにいるし、長友佑都（FC東京）のようなメンタルモンスターとも日々接してきた。そういった経験から自分がやるべきことを久保自身も学んできたはず。彼らの立ち振る舞いからフィードバックできることもあるだろう。

「彼らに共通するのは、誰とでも分け隔てなく接してくれること。新しい人からしたら、すごくやりやすい。僕自身もそういう適性があると思っているので。今回は思ったよりスムーズにみんなが受け入れてくれたので、逆に自分が助かっています」と、本人は新戦力たちと良好な関係性を築けている様子。それをインドネシア戦に存分に活かすべきなのだ。

　彼が背番号10を付けることに注目が集まっているが、久保建英が統率者としてピッチに立つことにより大きな意味がある。プレーヤーとしての器、懐の深さをぜひとも示してほしいものである。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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