当面は４月に就任した川田尚弘テクニカルダイレクター（TD）がSDを兼務する。川田TDは昨年10月の記者会見やファンミーティングで通訳を務め、プレシーズンには原社長らとドイツのライプツィヒへも同行していた。そのため、クラブ事情にも明るいだろう。

　現場経験も豊富で筑波大学蹴球部の監督、コーチを歴任。ドイツのハノーファーやケルンではスカウト、ボルシアMGのU−19のコーチを務めた。さらに、日本サッカー協会(JFA)公認A級ジェネラル指導者ライセンス、ドイツサッカー協会(DFB)公認A級指導者ライセンス、ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)公認A級指導者ライセンスを取得した実力者だ。

　ただ、川田TDの就任時のリリースを見ると、業務内容はかなり多岐にわたる。「男子のトップチームのみならず、アカデミーや、女子チーム等を含めた各分野において、ワークフローや意思決定、新プロセスの導入などをサポートすることであり、レッドブルサッカーネットワークとの橋渡しも担います」とあった。
 

　多忙が予想され、「川田がやりながら、実際の交渉とかは今までも橋本（早十ヘッドオブスカウティング）が入ってきたので。あと菊地（光将スカウト）も今年から入ってきているから、彼もそういうことをやるタイミングにはちょうどいいだろう」と原社長。「いる人材を上手く適材適所で分担していけば、彼（山本前SD）のところの穴が開かないようにできるかなと思う」との見通しだ。

　これから夏の補強動向も活発化する。J１昇格へ好位置につけているだけに、戦力を上積みしてのミッション成功に期待も高い。山本前SDは「J１昇格を心より願っています」とコメントし、その思いに報いるためにもクラブとチームが力を合わせていく。そして、シーズン最後にはサポーターとともに笑顔で締めくくれるよう“快進撃”を続けたい。

取材・文●松澤明美（大宮花伝）

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