足を止める選手はひとりもいなかった
一方で鹿島の守備について、左サイドハーフの鈴木優磨の裏のスペース、舩橋佑の対応など疑問が残る箇所もあったが、とはいえ、彼らはそうした数々のピンチをGK早川友基を中心にしのぎ切り、大半を1点差という勝負強さで7連勝を成し遂げた首位チーム。それをぶち破る、圧倒的なクオリティが横浜FMにあったのも確かだ。
アンデルソン・ロペスのポストプレーやドリブル突破、山根陸や喜田拓也の配球、そして何と言っても、ヤン・マテウスのシュートの上手さ。並の戦力で、戦術じゃんけんを更地にしたわけではない。彼らのゼロ火力の衝撃を突きつけた。意図して出せる形ではなくなったが、逆に1試合の中でカオスの中から偶発的に何度かは飛び出すものと考えると、相手にとっては恐怖でしかない。
また、こうしたロングキック戦術に合わせ、守備のやり方も変わった。それまでは相手GKまでマンツーマンのハイプレスに行き、ショートカウンターを狙う様子が見られたが、はめ切れず、間延びした中盤を攻略される場面が目立っていた。しかし、鹿島戦では効果の薄いハイプレスを止め、4-4-2のミドルブロックで構える。FWのアンデルソン・ロペスと植中朝日は、相手CBを前に捉えつつ、相手ボランチを背中で消し、山根や喜田が引っ張り出される場面を減らす。攻守ともに、FW、MF、DF間のコンパクトさが強く意識されたのは、それまでの試合との大きな違いだ。
ただし、コンパクトさを維持するためにDFはハイラインを保っているので、背後を突かれるリスクはある。特にロングキックなどのリスタートで、カオスを制圧された直後は顕著だ。
そうした場面から鹿島が背後へ抜け出して来るシーンはかなり多かったが、相手の折り返しが単調だったこともあり、スピードのある両CBトーマス・デンや松原健がどうにかクリアできた。松原は本来このポジションの選手ではないが、このコンパクト・ハイライン戦術においては適性がある。1失点で切り抜けたのは上出来だった。
アンデルソン・ロペスのポストプレーやドリブル突破、山根陸や喜田拓也の配球、そして何と言っても、ヤン・マテウスのシュートの上手さ。並の戦力で、戦術じゃんけんを更地にしたわけではない。彼らのゼロ火力の衝撃を突きつけた。意図して出せる形ではなくなったが、逆に1試合の中でカオスの中から偶発的に何度かは飛び出すものと考えると、相手にとっては恐怖でしかない。
また、こうしたロングキック戦術に合わせ、守備のやり方も変わった。それまでは相手GKまでマンツーマンのハイプレスに行き、ショートカウンターを狙う様子が見られたが、はめ切れず、間延びした中盤を攻略される場面が目立っていた。しかし、鹿島戦では効果の薄いハイプレスを止め、4-4-2のミドルブロックで構える。FWのアンデルソン・ロペスと植中朝日は、相手CBを前に捉えつつ、相手ボランチを背中で消し、山根や喜田が引っ張り出される場面を減らす。攻守ともに、FW、MF、DF間のコンパクトさが強く意識されたのは、それまでの試合との大きな違いだ。
ただし、コンパクトさを維持するためにDFはハイラインを保っているので、背後を突かれるリスクはある。特にロングキックなどのリスタートで、カオスを制圧された直後は顕著だ。
そうした場面から鹿島が背後へ抜け出して来るシーンはかなり多かったが、相手の折り返しが単調だったこともあり、スピードのある両CBトーマス・デンや松原健がどうにかクリアできた。松原は本来このポジションの選手ではないが、このコンパクト・ハイライン戦術においては適性がある。1失点で切り抜けたのは上出来だった。
もう一つ、今回は絶好調の鹿島が相手であり、心理的な高揚やアラートも手伝ったのではないか。それを感じたのは、19分の場面だ。
ハイラインの背後へ、レオ・セアラがCB間から飛び出してきた。結果的にこれはオフサイドで、それを誘発した松原には見えていたし、加藤も手を上げてアピールした。しかし、セルフジャッジで足を止める選手はひとりもなく、最後はゴール前の混戦に下がってきたヤン・マテウスがクリア。その後、副審はディレイ判断でオフサイドを示す旗をあげた。
この時点で2-0とはいえ、まだ序盤。両チームの流れを踏まえれば、横浜FMを安心して見られる状況ではない。コンパクトな4-4-2も現状は少し動かされると隙が出がち。しかし、このオフサイド場面で横浜FMの試合への没頭を目の当たりにしたとき、「今日はいけそうだな」と感じた。経験則だが、こういう感覚は外れない。実際いけた。
2か月ぶりの勝利。7連勝中の鹿島を撃破。ホッとし、歓喜し、順位表を見て、我に返る。勝点11。まだ断然、最下位だ。
決定力は水物だから、常に出るとは限らない。守備の向上は必須だし、最後に鍵を握るのは、19分のシーンのような試合への没頭だろう。それがあれば、簡単に負けることはない。「今日は」で終わらない、横浜FMの逆襲が始まるか。
文●清水英斗(サッカーライター)
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ハイラインの背後へ、レオ・セアラがCB間から飛び出してきた。結果的にこれはオフサイドで、それを誘発した松原には見えていたし、加藤も手を上げてアピールした。しかし、セルフジャッジで足を止める選手はひとりもなく、最後はゴール前の混戦に下がってきたヤン・マテウスがクリア。その後、副審はディレイ判断でオフサイドを示す旗をあげた。
この時点で2-0とはいえ、まだ序盤。両チームの流れを踏まえれば、横浜FMを安心して見られる状況ではない。コンパクトな4-4-2も現状は少し動かされると隙が出がち。しかし、このオフサイド場面で横浜FMの試合への没頭を目の当たりにしたとき、「今日はいけそうだな」と感じた。経験則だが、こういう感覚は外れない。実際いけた。
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