長期政権に終止符のNEC。「監督が去っちゃうのは寂しいですね」
ホーム最終戦となったNAC戦で見事3-0の勝利を飾ると、今季いっぱいでクラブを去るスタッフ、選手たちのお別れセレモニーがあった。その中には5季に渡ってチームを率い、2部リーグから1部リーグ昇格へ、そして中堅上位に引き上げたロヒール・マイヤー監督の姿もあった。
NAC戦前、カルロス・アールバーツTDは珍しく選手たちをこう激励したという。
「今日はファンのために、チームのために、プレーオフに出るために、そしてチームを去るみんなのために戦わないといけない」
その想いをNECイレブンは一つひとつのプレーに乗せて戦ったのだ。
試合が終わってしばらくすると、マイヤー監督と佐野がピッチ脇の階段に座り込んでしゃべっていた。
「お前、ポジションはどこがいいの? 6番か8番か良く分かんないんだよね」
「俺も、それは分かんないよ」
この期に及んでそんな微笑ましい会話をしていたのだ。そして佐野のポリバレントな魅力がこの短い会話に詰まっているなとも感じた。
NAC戦前、カルロス・アールバーツTDは珍しく選手たちをこう激励したという。
「今日はファンのために、チームのために、プレーオフに出るために、そしてチームを去るみんなのために戦わないといけない」
その想いをNECイレブンは一つひとつのプレーに乗せて戦ったのだ。
試合が終わってしばらくすると、マイヤー監督と佐野がピッチ脇の階段に座り込んでしゃべっていた。
「お前、ポジションはどこがいいの? 6番か8番か良く分かんないんだよね」
「俺も、それは分かんないよ」
この期に及んでそんな微笑ましい会話をしていたのだ。そして佐野のポリバレントな魅力がこの短い会話に詰まっているなとも感じた。
――来季から指揮を執るディック・スフローダーは、PECズウォーレを任された時間が短すぎて2部降格の憂き目に遭いましたが、中山雄太選手(現町田)をリベロに抜擢するなど、良いサッカーを披露して称賛されました。
「面白いサッカーをするんですね。それも楽しみです。でも俺からしたら(マイヤー)監督が去っちゃうほうが寂しい。初めて海外に来て迎え入れてくれた監督ですし、自分のことを使ってくれたので、そういった意味で寂しいですね。監督とは毎日のように会話してます。でも込み入った話はないですね」
観客に向けたスピーチの中で、マイヤー監督は「良い時もあれば悪い時もあった、山あり谷ありの5年間でした」と言っていた。今季のNECがまさにそう。残留争いに長く苦しみ、マイヤー監督も「あなたはいったい、チームを建て直す自信を持っているんですか?」とメディア、ファンから詰問されることがあった。しかし今、NECはアヤックスとNACを相手に3-0の大勝を続け、来季のUEFAカンファレンスリーグを懸けたプレーオフ進出圏の8位に位置している。
前節のアヤックス戦、アンカーとして輝いた佐野は全国紙『デ・テレフラーフ』の週間ベストイレブンに選ばれるなど、オランダでさらに名を高めた。マッチアップしたのはオランダ代表MFケネット・テイラー。
「テイラーにはやらせないように頑張ってました。テイラーは攻撃型のMFです。デイビー・クラーセンとジョーダン・ヘンダーソンは後ろで作りながら縦パスを付けて、というMFたちなので勝手にやらせておいて、そこ(テイラーなどアヤックスのオフェンシブな選手)に入った瞬間に自分のところでやらせないことを意識してました。
やっぱりテイラーはうまいし、速いし、ボールを持った時のセンスがあるし、ボールがないところのポジショニングもやっぱり良かった。そういった意味では嫌な選手でした。テイラーとステフェン・ベルフハウスが入れ替わり立ち替わりに入ってきました。ベルフハウスもうまかった。ああいう選手相手にやるとやっぱり燃えますね。あのヨハン・クライフ・アレーナで最初はちょっと雰囲気に圧倒されたりしたんですけれど、一個いいプレーをしてから、そこからはドーンっと行けました」
その“一個いいプレーをした”とは59分、自陣ペナルティエリア手前で、アヤックスの猛プレッシングを受けながら、細かなタッチで打開してパスを前に付け、ソンチェ・ハンセンの先制弾につなげたシーンだ。
「リスクはありましたけれど、くぐっていけた。ああいうプレーは自信につながります。逆に今日はシンプルにプレーすることを意識して、あんまりボールに触ってないけれど、いいポジショニングを取って他の選手にパスを出させるとか。フィリップ(サンドラー)がボールを持つと、自分が受けなくても、彼はいいパスを出せるので。自分のところで受けなくても、自分が逆に(パスコースを)空ける動きをすれば、フィリップが前にパスを刺せるので、そういうことを意識してました。俺が見てきた中でフィリップがベストプレーヤーです。いろいろなチームと対戦したり、自分のチームにいい選手がいたとしても、今のところフィリップほど驚いた選手はいないです」
「面白いサッカーをするんですね。それも楽しみです。でも俺からしたら(マイヤー)監督が去っちゃうほうが寂しい。初めて海外に来て迎え入れてくれた監督ですし、自分のことを使ってくれたので、そういった意味で寂しいですね。監督とは毎日のように会話してます。でも込み入った話はないですね」
観客に向けたスピーチの中で、マイヤー監督は「良い時もあれば悪い時もあった、山あり谷ありの5年間でした」と言っていた。今季のNECがまさにそう。残留争いに長く苦しみ、マイヤー監督も「あなたはいったい、チームを建て直す自信を持っているんですか?」とメディア、ファンから詰問されることがあった。しかし今、NECはアヤックスとNACを相手に3-0の大勝を続け、来季のUEFAカンファレンスリーグを懸けたプレーオフ進出圏の8位に位置している。
前節のアヤックス戦、アンカーとして輝いた佐野は全国紙『デ・テレフラーフ』の週間ベストイレブンに選ばれるなど、オランダでさらに名を高めた。マッチアップしたのはオランダ代表MFケネット・テイラー。
「テイラーにはやらせないように頑張ってました。テイラーは攻撃型のMFです。デイビー・クラーセンとジョーダン・ヘンダーソンは後ろで作りながら縦パスを付けて、というMFたちなので勝手にやらせておいて、そこ(テイラーなどアヤックスのオフェンシブな選手)に入った瞬間に自分のところでやらせないことを意識してました。
やっぱりテイラーはうまいし、速いし、ボールを持った時のセンスがあるし、ボールがないところのポジショニングもやっぱり良かった。そういった意味では嫌な選手でした。テイラーとステフェン・ベルフハウスが入れ替わり立ち替わりに入ってきました。ベルフハウスもうまかった。ああいう選手相手にやるとやっぱり燃えますね。あのヨハン・クライフ・アレーナで最初はちょっと雰囲気に圧倒されたりしたんですけれど、一個いいプレーをしてから、そこからはドーンっと行けました」
その“一個いいプレーをした”とは59分、自陣ペナルティエリア手前で、アヤックスの猛プレッシングを受けながら、細かなタッチで打開してパスを前に付け、ソンチェ・ハンセンの先制弾につなげたシーンだ。
「リスクはありましたけれど、くぐっていけた。ああいうプレーは自信につながります。逆に今日はシンプルにプレーすることを意識して、あんまりボールに触ってないけれど、いいポジショニングを取って他の選手にパスを出させるとか。フィリップ(サンドラー)がボールを持つと、自分が受けなくても、彼はいいパスを出せるので。自分のところで受けなくても、自分が逆に(パスコースを)空ける動きをすれば、フィリップが前にパスを刺せるので、そういうことを意識してました。俺が見てきた中でフィリップがベストプレーヤーです。いろいろなチームと対戦したり、自分のチームにいい選手がいたとしても、今のところフィリップほど驚いた選手はいないです」