リーグ最少失点の鹿島が3失点で惨敗。堅守を誇るステージ王者になにが起こったのか?

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2016年07月03日

「ブロックされると(マークを)外す場面はある」(長谷川監督)。

地上戦では球際の強さを存分に発揮し、アデミウソンやパトリック(29番)を抑えた昌子(3番)だったが、セットプレーでは失点を防げなかった。(C)SOCCER DIGEST

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「でも、そうなっても、常に対応できるように、僕とナオ(植田)が準備しておかなければいけなかった」
 
 アデミウソンが“浮いて”いたのは分かっていた。だから、「最初、僕が行こうかな」と考えた。しかし、左サイドには遠藤が張っている。そこが気になって、アデミウソンの対応は植田に任せようとしたが、意志の疎通がうまく図れていなかったようだ。
 
「ナオはどっちかというと、僕が(アデミウソンに)行くからカバーのポジションを取った、という感じだった」
 
 ラインを下げてしまったのも反省点だ。
 
「いくらアデミウソンに前を向かせたからといって、そのままふたりで下がるのではなくて、ナオが行って、僕がヤットさん(遠藤)を見ながらのカバーもできたんじゃないかな、と。まあ、結果論ですけど」
 
 また、チームとして自らアクションを起こし、能動的にボールを奪いに行くのは、今季の特徴でもある。事実、小笠原の高い位置でのボール奪取に助けられたシーンは何度もある。だからこそ、昌子は自分たちの判断ミスだったと受け止め、悔やんだ。
 
「チームが前から奪いに行く行動を取ったら、僕らもそれについて行かないといけなかった」
 
 60分と73分の失点は、いずれもCKからだった。
 
 60分の失点は、第1ステージ16節・神戸戦のデジャブのようだった。この試合でもCKからゴールを奪われているが、何本かCKが続いたなかで失点という流れは酷似していた。
 
「セットプレーが続くと、相手も(タイミングなどが)合ってきたりする。ただ、あり得ないと思うけど、20本連続で相手のCKがあったとして、19本はめっちゃきれいに弾いても、最後の1本を入れられたら意味がない」(昌子)
 
 同じような流れで失点を重ねていけば、CKの対応に選手たちがナーバスになり、やがてそれが“悪癖”になる危険性がある。
 
 今はまだその段階にはない。G大阪の長谷川健太監督も、鹿島のセットプレーの守備を大きな弱点と見ていたわけではなく、「そこまで研究したわけではない」と明かす。
 
 もっとも、敵将は「重点的に狙っていたわけではないが、プルの動きに弱い部分と、ブロックされると(マークを)外す場面はある」と見ていた。そして実際に、鹿島の2失点目はまさに相手のブロックに遭ってやられている。
 
 映像を振り返ると、スコアラーの今野には西、すぐ横にいた金は昌子がマークする役割分担だったはず。しかし、今野はほぼフリーの状態で、ジャンプもせずにヘディングシュートを叩き込んでいる。
 
 なぜ、そうなったのか。キッカーの遠藤が蹴る直前、西は数歩前に進んできた金に抑え込まれるような形となり、身動きが取れない。マークすべき相手を失った昌子は、向かってくるボールに身体を投げ出したが届かず、ファーにいた今野に難なく頭で合わせられてしまった。
 
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