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「こっちは舐められたらダメ」ベルギー最高峰のプレーオフを闘う日本人コンビがあらためて噛み締める“Jリーグとの違い”「より感情を出すことが大事」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2025年04月15日

キャプテン渡辺は相手選手からまさかの“突き”を食らう

欧州1年目を駆け抜けてきた伊藤(右)は数多の“学び”を得た。(C)Getty Images

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 ヘントの鉄人、渡辺はディフェンスリーダーとして、キャプテンとして圧巻のプレーで1-0の勝利に貢献した。特に45分の大ピンチでは、対峙したミッチェル・アンジェ・バリクウィシャのパスを出し際でカットし、背後でフリーだったチャロン・シェリーへ通すことを阻止した。

 終盤、ヘントのゴール前は、1点を追うアントワープの死に物狂いの攻撃の前に不法地帯に。とりわけ渡辺は86分にボールのないところで足を踏まれたり、88分にはクロスの競り合いから相手の頭で首を痛めたりして、短い時間で二度、ピッチの上で悶絶した。

 そして後半アディショナルタイムには、相手にゴールラインの向こうまで吹き飛ばされながらもデュエルに勝利し、アントワープの勢いを鎮めた。現地全国紙の記者は「この時間帯の渡辺は実に印象深かった」と試合後、唸っていた。

 実は88分から治療を受け、しばらく試合が中断してから2分後、渡辺に向けて大ブーイングとビールが飛び交うタッチライン際を、彼は「なにも聞こえないぞ」というポーズでハーフウェイラインまで戻ろうとし、アントワープベンチの前を通った際にはすでに退いていた右SBイェレ・バタイユから怒りの突きを食らった。敵ファンを挑発した渡辺と、報復のバタイユはともにイエローカードをもらった。

「やっぱり流れですよ。痛がるタイミングとか、俺はそういうのを見ている。常々、相手サポーターや相手選手がイライラしているところにつけ込もうとしている。イエローカードをもらったのは良くないこと。でもああいうことで味方が奮起して、最後の締め方にもつながった気がしますね」(渡辺)

 昨秋から渡辺がキャプテンマークを巻く回数が増えてきた。チャンピオンズプレーオフでは3戦すべてで主将を務めている。しかし、必ずしも英語を得意としているわけではないことから、円陣での声がけはチームメイトに任せている。だからこそ、アントワープ戦の終盤のような熱いデュエルの連続や、相手の焦りに乗じる態度でチームを引っ張っている。

「そうです。俺はそっちです。言葉というよりプレーで示している。他の“ちゃんとしたキャプテン”みたいに発言とかでチームを引っ張るというよりかは、プレーで引っ張っていってほしいと言われている。それが今日、うまく出せたと感じています」(渡辺)
 
 前半序盤にピッチに入ると、一気に試合の状況を一転させた伊藤は、後半に入って守勢に立つと地上戦と空中戦で身体を張り、機を見て長駆のフリーランニングから相手ボックスに入り込みゴールを狙った。

「今日の試合は自分たちがリードして試合が進み、そこで押し込まれているなかで、チーム全体でできることは最後の場面で身体を張るということ。こっち(ベルギー)はサポーターも含めて、日本よりエキサイトしやすいというか。剛くんのシーンもそうですよね。例えばファウルをもらった後に時間を作ったり、勝っているときの試合の進め方はより頭を使ったり、そういうことをベルギーに来てから、より学んでいます。自分自身も、日本にいるときより感情を出すことが大事だと思ってます」(伊藤)

 日本にいるときはポーカーフェイスだったのか? そう伊藤に投げかけると渡辺が「そつなくプレーしてたんじゃないか」とジョーク交じりに言うと、当たるところもあったのか。伊藤は「それもそうだし」と受け止めてから続けた。

「ファウルされたりアフターで蹴られたりしても自分からガっとは行かないですし。(腕を振り上げたりして怒りをオーバーゼスチャーとかで示すことは?)シーンによります」(伊藤)

「こっちは舐められたらダメ。舐められたらつけ込んで来るので。そういうところですね」(渡辺)

 熱いプレーの連動と感情の爆発。しかもコントロールされた爆発――。渡辺が身を挺して示すその姿に伊藤も感じ入る部分があるようだった。
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