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「負けてもヘラヘラしてる」ベルギー2部で奮戦の日本人逸材コンビが直面する“欧州リザーブチームのリアル”。「自分も我を出していきたい」【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2025年03月05日

ヘンクのリザーブチームでプレーする21歳&19歳

ヨング・ヘンクで共闘する横山(左)と保田(右)。試練の日々からなにを掴むのか。写真:中田徹

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 16チームでスタートした今季のベルギー2部リーグは、デインゼが破産したことから現在15チームで開催されている。そのうちリザーブチームはRSCAヒューチャーズ(アンデルレヒト)、クラブNXT(クラブ・ブルッヘ)、ヨング・ヘンクの3つだ。
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 ヨング・ヘンクには1年前に加入した吉永夢希、今年に入ってから期限付き移籍してきた保田堅心(保有権は大分トリニータ)、横山歩夢(同バーミンガム・シティ)の日本人3選手が所属している。今季、チームは第7節の対RSCAヒューチャーズ戦(1-0)から5か月も勝利から見放されており最下位。このままだと来季はアマチュア1部リーグに降格するところだったが、2月27日のベルギーリーグ総会でレギュレーションが変更され、今季のリザーブチームの降格はなくなり、来季も無事2部リーグに残留することになった。

 とはいえ、ここ17試合で6分11敗という状況は普通ではない。3月2日のロケレン・タムセ(以下ロケレン)戦では76分まで1-1で粘ったものの、終わってみればやはり1-2の負けだった。

 シャワーを浴び、ロッカールームから出てきた横山に「今日の試合を振り返ってください」と尋ねると、その口調には丁寧に取材に応じたいという思いと、抑え切れない怒りが混じっていた。

「いつもの試合と同じようにセットプレーでやられた。あんなにセットプレーでやられても、守備のセットプレーの練習をしてないんです。それが問題かなと思います」

 それは開始間もない8分、ロケレンの蹴ったCKが自陣ゴール前で混戦になり、16歳のMFがボール扱いを誤ったところを蹴り込まれて先制点を許したシーンだった。プレー再開のため、右ウイングの位置に戻った横山は「何回やられるんだ」という思いでピッチを蹴っていた。そして試合終了のホイッスルが鳴った後も、横山はまたピッチを蹴った。フラストレーションはかなり溜まっている。

「ダメですね、もう。負けてもヘラヘラしてますし、『プロじゃないな』というのを(彼らを)見ていて思います」

 試合そのものは立ち上がり20分はロケレンに圧倒されたが、徐々にペースを取り戻し終了直前にビッグチャンスが訪れるなど、ヨング・ヘンクは最後まで好機を作っていた。

「惜しかったし、何回かチャンスを作れてましたけれど、そこをモノにできないと、最後にああやって失点してしまう。ちょっとそこは良くなかったかなと思います。結局、(保田)堅心や僕しか経験がないので、点を決められると若さゆえの焦りが出てしまっている部分が多々ある。もっと試合経験を積んでいかないといけない選手が多い。今後はそこが重要になってくると思います」
 
 この日、先発した11人のうち、GKブルッフマンスを含む2人が16歳。ほとんどが20歳以下の選手で、21歳の横山は上から数えて2番目だ。ヨング・ヘンクにも、ロケレン相手に鮮やかなゴールを決めたルカ・オイエンという一時、トップチームで活躍したことのある21歳MFもいるが、横山のようにJ2、J3の松本山雅で47試合11ゴール、J1のサガン鳥栖で45試合7ゴール・7アシスト、リーグワン(イングランド3部相当)のバーミンガム・シティで19試合4ゴール・2アシストという実績はチーム内で飛び抜けている。1月下旬にはFAカップの舞台で貴重なゴールを決めた。

 己のプレーに生活がかかっていたり、ステップアップを夢見たりする選手たちが勝って喜び、負けて悔しがる世界に浸ったからこそ、歯がゆい気持ちはシャワーを浴びても横山から消えないのだろう。いや、私たちが話をしている傍らを、笑みを浮かべて過ぎていくチームメイトを見るうちに、さらに怒りが増したようにも感じられた。 

「(残り5試合)立て直すために全力を尽くすしかないんですけれど、練習からもっともっとプロらしくやっていかないといけない。だけど、半年以上勝ててなくて、あんな態度なんでもう救いようがないという感じですね」

 怒気をはらんだ言葉が続く横山に、オフレコがあるかどうか確認すると「全然書いてもらって構いません。(怒りのコメントか?)はい、それしかなさすぎる」と言い切った。読んでくれ、俺の気持ちを分かってくれ、プロらしく振る舞って一緒に成長していこうぜ!――。そんな心からのメッセージが込められていると、私は彼の言葉から受け取った。
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