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冴えない交代要員からゴールに絡む中軸へと成長…“22歳日本人”を蘭メディアがこぞって絶賛!本人は「悩みながら過ごしていた」と苦難の日々を回顧【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中田徹

2025年04月08日

「五輪出場にちょっと満足しちゃった自分が、たぶんいたんだと思う」

昨年夏、目標にしていたパリ五輪で躍動。「燃え尽きちゃった感がちょっとあった」と振り返る。(C)Getty Images

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 能力の高さをいかんなく発揮し始めた三戸だが、今季前半戦の不振はオランダ人にとってもミステリーだった。あるオランダ人記者が「周りから『コウキ(斉藤光毅/現QPR)みたいに活躍してほしい』と言われたり、比較されたりするのが三戸にとってプレッシャーになったのではないだろうか」と私に言った言葉を本人に伝えると、こういうレスポンスが戻ってきた。

「やっぱりサポーターは自分に期待していると思います。光毅くんがいなくなったぶん、『光毅くん2号』じゃないですけど『日本人として光毅くんみたいなプレーをしてほしい』という期待はあると思う。そういうプレッシャーは多少、感じてましたけど、そのプレッシャーでうまくいかなかったというわけではないと思います」

 ならば、前半戦の不調の源はどこにあったのだろうか。

「ひとつは新潟のときから自分はオリンピックをずっと目ざしていた。そこに集中しすぎたというか、燃え尽きちゃった感がちょっとあっちゃった。オリンピックに出られたことにちょっと満足しちゃった自分が、たぶんいたんだと思うんです。点も決めれたりしました。目ざしていたところに行けてしまい、『次はどこを目ざしたら良いんだ』と一回なっちゃった。それで悩みながら(過ごしていた)というのもありました。それで前半戦はちょっとうまくいけなかった」

 アテネ世代、北京世代......、東京世代、パリ世代、さらにロス世代。その言葉と重ね合わせながら、私たちは選手のことを語ることがある。しかし、オランダではオリンピックの男子サッカー競技にかける強い思いはまったくない。

「ヨーロッパ(の男子サッカー界)はオリンピックをあんまり重視しない。日本の選手は国内に帰ると『オリンピック、お疲れさま。すごかったね』という反響があると思うんですけど、自分がオランダに帰ってきても別になんか、ふつうに『お疲れ、お疲れ』みたいな感じで、オリンピック選手としての扱いではなかった。日本に帰ってもし新潟でプレーしてたら、自分はもっと爆発してたかもしれない。(実際のところ)それはわからないですけど」

 だから、コーチングスタッフやチームメイトたちも、三戸が抱えていたオリンピックを戦うプレッシャーと、そこからの解放の末に生まれた達成感に気が付かなかったのだろう。その一方で三戸は「でも日本に帰って、(Jリーグの)試合に出れてない選手もいると思う。まあ自分と同じような感じだと思うんです」とも言う。

「オリンピックに出られなかった人のほうが意外に活躍しているというか。(佐野)航大とかもそうですけれど、悔しかった選手のほうが活躍しています」
 
 2024年1月からNECで正位置を確保した佐野航大は、パリオリンピックを目ざして追い込みをかけたものの、最終メンバーの選考から漏れた。その悔しさを晴らすべく今季は開幕から中心選手として活躍していたが、中足骨骨折により離脱。前節のAZ戦後半途中から復帰すると、見事なピボットターンとミドルパスを繰り返し、『ESPN』の週間ベストイレブンに輝いた。スパルタ戦で64分間プレーした佐野と三戸は試合後、少し長い時間談笑していた。

「日本から自分はスパルタに、航大や塩貝(健人)くんはNECに行った。彼らには負けられない。日本人としてのプライドというか。今日は(2-0で)勝てて『スパルタを選んで良かったな』というプライドみたいなものは多少はあります」

 しばらく降格圏に低迷していたスパルタは、冬の補強で獲得した選手たちがチーム力を引き上げ、それに三戸の復調が重なり、NECを抜いて12位に浮上した。2025年だけの戦績で言えばスパルタは4位と波に乗っている。このままチームとしても三戸個人としても、シーズン終盤戦を突っ走ってほしい。

取材・文●中田 徹
【動画】三戸舜介がフォルトゥナ戦で決めた“鮮烈2ゴール”をチェック!
 
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