【岩本輝雄のオタクも納得!】中村憲剛を“悲劇の主人公”にしても、意味はない

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2016年06月27日

福岡戦には、直訴してでもせめてメンバー入りをすべきだったのでは?

中村を欠いた前節・福岡戦では2-2の引き分け。この結果、川崎は2位に転落し、代わって首位に立った鹿島が最終節も勝利し、逆転優勝を飾った。(C)SOCCER DIGEST

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 ここではっきりと言いたいのは、中村を“悲劇の主人公”にしてほしくないということ。それはまったくのお門違いだ。
 
 1週間前の中村の怪我の程度がどれほどのものだったかは、正直、分からない。慢性的な痛みをずっと抱えていて、その時はかなり“ヤバい”状態だったのかもしれない。
 
 ただ、元プロとして言わせてもらえば、乱暴な見解なのは承知しているけど、1週間で回復するぐらいなら、それほど重傷だったとは思えない。現に大宮戦ではフル出場している。
 
 福岡戦は優勝の可能性があった。そんな重要なゲームには、直訴してでもせめてメンバー入りすべきだったのではないだろうか。もちろん、こればかりは現場の判断だから仕方のない部分はあるにせよ、中村がベンチに控えることでチームの士気も高まるはずだし、相手にプレッシャーを与えることにもなる。なによりも、たとえ15分でもピンポイントで起用すれば、それだけで戦力はグッと上がる。
 
 川崎が勝てなかった福岡に、鹿島は勝った。そして優勝を勝ち取った。それが事実だ。ホームとアウェーの違いはあるかもしれないけど、プレッシャーに関しては、最後の最後で追われる立場に立たされた鹿島のほうが大きかったように思う。
 
 しかも鹿島は福岡戦で、主力メンバーであるDFの昌子、MFのカイオを出場停止で欠きながらも、しっかりと勝ち切っている。この勝負強さこそ、“常勝軍団”と言われる所以なのだろう。
 
 年間勝点を考えれば、「39」の鹿島に勝点1差で迫る「38」という数字はポジティブなものだ。中村からも「自信になる」といった趣旨のコメントが聞かれたけど、結果として、川崎はなにひとつ勝ち取っていないことを忘れてはならない。
 
 いまだタイトルのない川崎は、もっと必死になるべきだと思う。今季はGKのチョン・ソンリョンやボランチのE・ネット、CBのエドゥアルドら守備的な選手の補強が当たり、後ろが安定してきた。これによって微妙なラインの上げ下げが可能となり、全体をコンパクトに保つことができるようになった。
 
 個で見れば、日本代表の小林の成長もある。最近は守備力が身に付いてきた印象で、押し込まれた時、サイドの位置で小林が1対1で奪い切るシーンが増えてきているのは、ディフェンスからしてもすごく助かっていると思う。
 
 チームとしての総合力は確実に高まってきている。タイトルを獲得しても、なんら不思議はない。大久保をはじめ、中村という国内屈指の選手も擁している。それだけに、福岡戦が残念でならない。
 
 この苦い経験を糧に、川崎がセカンドステージではどんな戦いを見せてくれるか期待したい。
 
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