【岩本輝雄のオタクも納得!】中村憲剛を“悲劇の主人公”にしても、意味はない

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2016年06月27日

すべての不安要素を排除した背番号14の存在感。

川崎は、腰と背中の負傷から復帰した中村が1得点・1アシストの活躍で大宮に勝利。しかし、ステージ優勝には届かなかった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 この日は、いつものトップ下ではなく、2列目の左サイドでのプレーだった。
 
 慣れないポジションだったとは思うけど、パフォーマンスは落ちるどころか、個人的には今季ここまでで最高点を与えたいぐらいの出来だった。
 
 大宮相手に2-0で完勝した川崎。そのどちらのゴールにも、中村は関与した。22分の大塚の先制点では、針の穴を通すような正確なスルーパスでゴールをお膳立て。そして56分には、コースを突いた左足のシュートでネットを揺らしてみる。
 
 1得点・1アシスト。決定的な仕事だけでなく、左サイドから中に入ってのゲームメイクは効果的で、優れたキープ力でボールを落ち着かせ、チームのポゼッションをキープ。大宮も決して楽な相手ではなかったはずだけど、すべての不安要素を中村の存在が排除するかのような、それほどの存在感だった。
 
 川崎での中村の重要性を改めて認識できる試合だった。だからこそ、2-2のドローに終わった福岡戦で中村がいれば……と思わないわけではない。というより、厳しい言い方だけど、結局は中村本人、ひいては川崎というチームの“甘さ”というか“心の隙”が、ステージ優勝を逃した要因だったと考えている。
 
 前節の福岡戦、中村は腰と背中の痛みで欠場を余儀なくされている。不動の司令塔を欠いたチームは、最下位のチーム相手に引き分けに持ち込むのが精一杯で、勝点1しか上積みできなかった。
 
 この結果、同節に神戸に逆転勝ちした鹿島に首位の座を受け渡し、最終節はその鹿島が福岡に勝利し、ステージ優勝を成し遂げている。
 
 邪推すれば、チームには最下位の福岡なら“中村なしでも勝てるだろう”という見通しがあったのではないか。思い返せば、世間の見方も“福岡に負けるわけがない”というものだったように感じる。
 
 しかし、結果は引き分けだった。終わってみれば、順位が入れ替わったことも含め、この福岡戦がターニングポイントとなった。
 
 掴みかけたステージ優勝を逃して、中村も悔しい想いをしているはず。もっとも、これでシーズンが終わったわけではないし、セカンドステージも十分にチャンスはある。
 
「あの時、中村憲剛がいれば……」
 
 第1ステージが終わった今、そうした風潮が蔓延している気がしてならない。大宮戦の活躍ぶりを見れば、なおさらそう考えてしまうのも無理はないだろう。
 
 
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