• トップ
  • ニュース一覧
  • 南葛SCプロモーション部での第2の人生。楠神順平が決めた引退の理由と小林悠、乾貴士らに託したバトン

南葛SCプロモーション部での第2の人生。楠神順平が決めた引退の理由と小林悠、乾貴士らに託したバトン

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2025年03月18日

「絶対に抜けていたようなシーンで抜けなくなった」

南葛では5シーズンに渡ってプレー。随所でらしさを見せた。(C)南葛SC/野口岳彦

画像を見る

 引退を決めた理由は「身体がしんどくなったから」だと明かす。

「きつくなってきたっていうのはありましたね。特に練習は人工芝で身体に負担がかっている部分があったので。本当は一昨年(2023年)のシーズンが終わった後にどうしようかなと本気で悩んだ時期もあって。でも(2024年から南葛の監督に)風間(八宏)さんが就任するということで、もう1年本気でやってみて無理だったら辞めようと思って臨んだ2024年だったので、いきなり引退を決めたわけじゃなく、ある程度、気持ちを整理しながらという形でした」

 身体のサインも感じ取っていた。

「僕の場合はキレですね。怪我は少なかったんですよ。一度、前十字をやりましたけど、それ以外、大きな怪我はほとんどなかったので。でも、今までだったら絶対に抜けていたようなシーンなのに、抜けなくなったというのが、僕の中では大きかったですね。

 以前だったら相手の前に入れていたのに、入れなくなった。年を経るごとにプレースタイルを変えてはいましたが、それでも相手の前に入ることが難しくなった。また風間さんが就任して、ボールの止め方ひとつにしてもチャレンジして、一生懸命100パーセントでやって結局試合に中々出られなかったので、本当にこれはもう仕方ないなと自分の中では割り切っていました。

 それに風間さんのサッカーも、僕が川崎時代に知っていたものではなくなっていたんですよ。いや技術を大事する部分など原理は一緒なんですが、川崎の時はもっとサイドを使って揺さぶりながら相手コートに押し込んで、ペナルティエリアの三辺からどこからでも侵入していこうという形だったんですが、南葛では横パスやバックパスはいらない、とにかく前だと。

 すごくスピードが上がって、進化していましたね。風間さんのサッカーやから、もうちょいゆっくりボールを回せるかなという淡い期待もあったんですよ(笑)。俺のサッカー寿命も伸びるんじゃないかと。でも逆に縮まりました(笑)。いや冗談ですよ」

川崎に同期入団で切磋琢磨してきた小林悠(写真右)。戦友にはエールを送る。(C)J.LEAGUE

画像を見る

 とはいえ、昨年の7月には一時期、先発のチャンスなども掴み、6月29日の8節・エリース東京FC戦では劇的な決勝弾を挙げるなど千両役者ぶりも示した。

 だからこそ「早い段階から今年(2024年)で辞める」と話していた家族からは、「もうちょっとやったら良いのに」との声もあった。しかし、楠神にしか分からない感覚もあったのだろう。「今年やり切って」という想いに変化はなく、彼は戦友たちにバトンを託した。

「いろんな人に電話で報告しましたよ。『まだやれるやろ』と言ってもらいましたが、決めていたので『もう無理です』って答えながら。『お疲れ様』って言葉もかけてもらいましたね。

 誰とのやり取りが印象に残った? うーんみんなそうですが、(小林)悠は、うん、やっぱそうだな。悠は同い年で一緒に川崎に入って、今までずっと刺激をもらい続けてきたので。だからあいつには、もっと続けて欲しいという気持ちが強いですね。悠は本当凄いですよ。あの膝で、身体だってボロボロなのに点を取る。川崎1年目で出会った時にすでに膝に重い怪我をしていましたからね。あの膝でよくあれだけ点を取れるなって。まだ第一線でやれているのは、本当にあいつの努力あってこそ。

 それと(地元の後輩の)乾も、小さい頃からずっと一緒にやってきた存在。(2025年は清水で)またJ1に上がってプレーしている。悠を含めてこのふたりはやっぱり僕のなかでは特別な存在ですね。ふたりが活躍している姿を見ると本当に嬉しいですし、本当にできるところまでやって欲しい」

 そう願いを語った楠神は改めて「もう本当に清々しいんですよ。最後に風間さんの下でプレーできて良かったなと。風間さんの目指すサッカーは凄く共感できるし、続ければ絶対強くなる。そのなかで不満を持ちながらの引退だったらモヤモヤするはずですけど、悔いがない。もうやり切った感覚ですね」と笑顔を向けてくれた。

(第2回に続く)

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

■南葛SCの今後のスケジュール こちら
https://www.nankatsu-sc.com/match-result
【関連記事】
東京駅から最も近いスタジアムの建設、関東リーグ1部・6位でも集客率アップ...GMも胸を張る風間八宏体制2年目の南葛SCの現在地
名物プロモ部長が南葛SCで描く新たな夢。風間八宏との“ぶっ飛んでいる”ふたりの再タッグで挑む都心クラブでの壮大な計画
壮大な“風間改革”が進行中の南葛SC。関東リーグ1部のクラブとは思えない活力と熱はどう生まれているのか【スペシャルインタビュー前編】
風間八宏が目指す“怒”のないスタジアムとは?街の熱気、地域との絆。川崎をも超えるかもしれない南葛SCの大きな可能性【スペシャルインタビュー後編】
【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開!

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ