サッカーが5人交代制になってから、試合の終盤に入ってもプレーの強度は高止まりしている。この日、インテルのシモーネ・インザーギ監督は81分にアルナウトビッチ、チャルハノールというベテラン2人を投入。しっかり5人の交代枠を使い切って試合をクローズさせた。

　一方、ファン・ペルシ監督が切ったカードは、上田綺世のただ1枚だけ。フェイエノールトの選手の中には普段の力を発揮し切れなかったり、本来のポジションとはまったく違う場所でのプレーを余儀なくされたり、エネルギーを使い果たして足を攣らせたりした選手がいたが、それでも2月下旬から指揮を執る、かつての名ストライカーは動けなかった。

　それというのもインテル戦のベンチに座るのは、昨季、U-19監督を務めたファン・ペルシのもとで、UEFAユースリーグでプレーした若者ばかり。しかも当時のメンバーの主力2人のうち、1人は怪我、もう1人はレンタルで武者修行中だ。トップチームの主力が負傷で11人戦列を離れているなか、インテル戦では数合わせのように無名のホープたちがベンチ入りした。
 

「この日、フェイエノールトの交代出場は上田選手だけでした。それが今のフェイエノールトの厳しい状況を物語っているのでは？」と問われると、背番号９はこう答えた。

「そうです。１人でも多く早く回復してプレーしないといけないし、怪我してない選手もまた怪我をしないように、しっかりプレーし続けることも大事になってくると思います。チーム事情が苦しいし、僕も怪我の再発だけは注意しています」

　0-2の完敗にも関わらず、試合が終わるとファンは拍手を惜しまなかった。彼らはフェイエノールトの状況をよく理解し、場内を一周する選手たちを労い、第2レグでの健闘を祈っていた。

取材・文●中田 徹

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