
【MF】
エリック・ダイアー(イングランド/22歳) 成績:3試合・1得点
ルーニーとアリの後方で中盤の守りを一手に引き受け、鋭い寄せと屈強なボディーを活かしたタックルでボール奪取の山を築く。チームの重心が高いイングランドの守備が崩壊しなかったのは、この若きアンカーの献身があったからだ。攻撃でも高精度の右足で安定したパス捌きを披露。初戦のロシア戦では、その右足でFKを豪快に叩き込んだ。このポジションでは、クリホビアク(ポーランド)も特筆に値した。

【MF】
ガレス・ベイル(ウェールズ/26歳) 成績:3試合・3得点
ワールドクラスの左足が、文字通り火を噴いた。スロバキア戦は約30㍍、イングランド戦は約35㍍のFKを直接ねじ込み、ロシア戦は相手GKの動きを冷静に見極めながら、ラムジーのパスをアウトサイドキックで流し込む。ここまででマークした3ゴールは、スペインのモラタと並び大会最多だ。スピードを活かした力強いドリブルも健在で、グループBを首位で突破した躍進ウェールズを、別次元のプレーで牽引した。

【MF】
ディミトリ・パイエ(フランス/29歳) 成績:3試合・2得点
絶妙な左足のクロスでジルーの先制点をアシストしただけでなく、終了間際の左足ミドルで決勝ゴールを突き刺した開幕戦に続き、アルバニア戦では決定的なパスを連発、ダメ押しの2点目も叩き込んだ。UEFA選定のマン・オブ・ザ・マッチに2試合連続で輝いたこの男の活躍が、ホスト国を勢いに乗せたのは間違いない。途中出場でピッチに立ったスイス戦でもバーを叩く惜しいシュートを放つなど、グループステージを通じて主役を張った。

【MF】
アンドレス・イニエスタ(スペイン/32歳) 成績:3試合・0得点
チェコ戦、トルコ戦では、まさにピッチの王様と化した。エリア内に進入したイニエスタをチェコ守備陣が7人がかりで止めにいった80分のシーンが印象的だ。その7分後には、正確なクロスでピケのヘディングでのゴールをアシストしている。トルコ戦でも好調を維持し、組み立てと崩しの両局面でスーパーなプレーを披露。ピッチのどこからでも繰り出せる、敵守備網を切り裂く芸術的スルーパスは、見事としか言いようがない。

【MF】
イバン・ペリシッチ(クロアチア/27歳) 成績:3試合・2得点
スペインと同居したグループDを、首位で勝ち上がったクロアチアのまさに原動力。左サイドを根城に、縦へのスピーディーな突破からのクロス、内に切れ込んでからのフィニッシュで違いを作る様は、往時のロッベンをどことなく彷彿させた。トルコ戦ではチームに勢いをもたらす先制点を、続くスペイン戦では終了間際に千金に値する決勝ゴールを叩き込むなど、ここ一番の勝負強さも際立った。

【FW】
アルバロ・モラタ(スペイン/23歳) 成績:3試合・3得点
初戦のチェコ戦ではチェフの再三の好守に阻まれ、ゴールこそなかったものの、周囲との連携が取れているところをしっかりアピール。それが結果として表われたのが2戦目のトルコ戦だ。左サイドのノリート、ジョルディのパスを、それぞれきっちりゴールに結び付けた。続くクロアチア戦でも、抜群のポジショニングで先制点をもぎ取っている。エースとしての信頼を勝ち取った今後は、さらに好パスが集まるはず。得点王の有力候補だ。
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