そもそもスペースを与えず、ボールが入ればサンドで潰す。
2-0で勝利した6月13日の初戦でエデン・アザールやケビン・デ・ブルイネら擁するベルギーの強力攻撃陣を封じたアッズーリ守備陣は、世界最高峰のCFであるズラタン・イブラヒモビッチを封じられるのか――。6月17日のイタリア対スウェーデンの焦点はそこにあった。
【PHOTOギャラリー】イブラも封殺した「カテナチオ」。エデルの決勝弾でイタリア2連勝!
結論から言えば、イタリアはイブラヒモビッチを抑えきった。文字通り“完璧”に、だ。2分、27分のヘディングシュートはしっかり身体を寄せて防ぎ、17分のドリブル突破も囲んで潰す。オフサイドに4回引っかけ、枠内シュートを1本たりとも許さなかったのだ。
イタリアは守備時に3CB+両サイドハーフの実質5バックになり、ピッチの幅を5人でカバー。そもそもスペースがないうえ、チャレンジ&カバーを完璧に繰り返し、イブラヒモビッチには僅かなスペースすらも与えない。ボールが入ると対面のCB(主にジョルジョ・キエッリーニ)と中盤(主にダニエレ・デ・ロッシ)がサンドし、まったくと言っていいほど前を向かせなかった。
とりわけキエッリーニのハードチャージは、記者席にも衝突音が聞こえんばかりの激しさ。これに苛立ったイブラヒモビッチは、徐々に中盤まで下がってボールを受け始めるも、ここでもMF陣に縦横を塞がれ、横や後ろにパスを捌くのが精いっぱいだった。
チーム全体で見ても、枠内シュートが0本、枠外シュートが3本、ブロックが1本とスウェーデンに文字通り何もさせなかったイタリア。「あれだけ人数をかけて守れば当然」という声もあるかもしれないが、細かな最終ラインの上げ下げなどに象徴される極めて高い戦術的クオリティー、メンタル的に疲弊する完全受け身の体勢でも集中力が途切れない強靭なメンタリティー、そして88分にエデルがワンチャンスを決めて勝点3を持ち帰る勝負強さ――。その全てを備えた代表チームは、世界中を見渡してもアッズーリをおいて他にいないはずだ。
よほど悔しかったのだろう、試合後のイブラヒモビッチはファンへの挨拶もせずに足早にロッカルームへと消えた。そして、そのエース完封の主役となったキエッリーニは、こう胸を張った。
「テクニックと体格を併せ持つイブラヒモビッチは真のカンピオーネ(名手)で、抑えるには“決闘”を挑むしかなかった。ピッチはかなり暑かったし、厳しい戦いだったけど、封じられてよかったよ」
現地取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)
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結論から言えば、イタリアはイブラヒモビッチを抑えきった。文字通り“完璧”に、だ。2分、27分のヘディングシュートはしっかり身体を寄せて防ぎ、17分のドリブル突破も囲んで潰す。オフサイドに4回引っかけ、枠内シュートを1本たりとも許さなかったのだ。
イタリアは守備時に3CB+両サイドハーフの実質5バックになり、ピッチの幅を5人でカバー。そもそもスペースがないうえ、チャレンジ&カバーを完璧に繰り返し、イブラヒモビッチには僅かなスペースすらも与えない。ボールが入ると対面のCB(主にジョルジョ・キエッリーニ)と中盤(主にダニエレ・デ・ロッシ)がサンドし、まったくと言っていいほど前を向かせなかった。
とりわけキエッリーニのハードチャージは、記者席にも衝突音が聞こえんばかりの激しさ。これに苛立ったイブラヒモビッチは、徐々に中盤まで下がってボールを受け始めるも、ここでもMF陣に縦横を塞がれ、横や後ろにパスを捌くのが精いっぱいだった。
チーム全体で見ても、枠内シュートが0本、枠外シュートが3本、ブロックが1本とスウェーデンに文字通り何もさせなかったイタリア。「あれだけ人数をかけて守れば当然」という声もあるかもしれないが、細かな最終ラインの上げ下げなどに象徴される極めて高い戦術的クオリティー、メンタル的に疲弊する完全受け身の体勢でも集中力が途切れない強靭なメンタリティー、そして88分にエデルがワンチャンスを決めて勝点3を持ち帰る勝負強さ――。その全てを備えた代表チームは、世界中を見渡してもアッズーリをおいて他にいないはずだ。
よほど悔しかったのだろう、試合後のイブラヒモビッチはファンへの挨拶もせずに足早にロッカルームへと消えた。そして、そのエース完封の主役となったキエッリーニは、こう胸を張った。
「テクニックと体格を併せ持つイブラヒモビッチは真のカンピオーネ(名手)で、抑えるには“決闘”を挑むしかなかった。ピッチはかなり暑かったし、厳しい戦いだったけど、封じられてよかったよ」
現地取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)