P・ジュニオールの守備意識の高さが光った広島戦だが、神戸はチームとしても連動したディフェンスを見せた。
 
　準備の段階では、「広島と対戦するにあたり、トレーニングの中で相手と同じシステム（３-４-２-１）でやることも試した」というが、「その内容はとても満足できるものではなかったので、今までやってきた４バック（４-４-２）で、若干の広島対策は必要でしたが、選手たちがシステムを理解して攻守に渡り満足するレベルで力を出してくれたと思います」と指揮官は明かす。
 
　続けて最終ラインに関しては「良い対応をしてくれていたと思います。試合前に話したこと、落とし込んだこと、ゲームプランを遂行してくれたと思います。相手の真ん中から散らすボール、サイドチェンジを含めたシチュエーションでもしっかりと４枚でスライドしながら対応して、同サイドでは数的不利を作らず、逆サイドは割り切って捨てていたのですが、ボールサイドの対応というのは上手く、選手間の距離も、コンビネーションも取りながら出来たと思います」と賞賛する。
 
　この日、SBに入った高橋峻希と田中雄大は広島のウイングバックに対して粘り強い対応を見せ、CBの伊野波雅彦、北本久仁衛もカバーリングできるポジションを常に取った。ボランチを含めた守備ブロックは機能的に動き、P・ジュニオールを軸とした前線からのプレスにも連動する。
 
　そしてひとたびボールを奪えば、レアンドロ、P・ジュニオールの２トップと渡邉千真を中心に素早く手数をかけずに攻め切る。
 
　開始３分にはマークのミスから先制点を奪われ、終盤は勝ち越し弾を狙い前に出たため、決定機を数度作られたが、「見応えのある良いゲーム」（ネルシーニョ監督）ができたのは事実だった。
 
　今季は森岡亮太、チョン・ウヨンという２枚看板が開幕前に抜け、負傷者が続出するなど、チーム作りはなかなか進まなかった。しかし、第１ステージも終盤にさしかかり、ようやくまとまりが出て来た印象だ。
 
　次節からは鹿島、浦和という上位陣との２連戦が待っている。ここで真価を発揮したい。
 
取材・文：本田健介（サッカーダイジェスト編集部）