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小林悠×太田宏介スペシャル対談。37歳、同級生コンビの本音。“カズさん超え”の感動や川崎一筋への想い

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年11月01日

「悠はフロンターレ一筋を貫いて欲しい」(太田)

広島戦で小林はJ1通算得点を更新。大きな成果を出した。(C)SOCCER DIGEST

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――小林選手のような“ワンクラブマン”は今、かなり減っています。

太田 それで悠は試合に出続けているわけですから。尋常じゃないですよ。

小林 もう一杯いっぱいだけどね(笑)。

太田 ギリギリって悠はよく言うけど、ギリギリの中で試合に出られず、引退を選ぶ同世代や先輩方を俺は見てきている。やっぱり必要とされ続けるって簡単ではないし、これまで色んな分岐点が、悠なりにあったと思うけど、自分で選んでフロンターレに残って、歴史を塗り替えてきた。改めて凄いなと思うよ。

 それこそ俺は最後に出身地の町田に帰ったけど、町田界隈の人から『悠を町田に呼んで!!』『悠来てくれないかな』などの声があったけど、悠のキャリアを考えたら、個人的な意見としては、悠はフロンターレ一筋を貫いて欲しい。ここで移籍するのは、ストーリーとしては違うなと。

 仮に年俸何億払いますよ、っていうオファーが来ても悠は、出ちゃダメだよ。フロンターレで、このままキャリアを終えるのが何より美しい。だからこそ、ここからが楽しみだね。

小林 いやかなり大変なんだけどね(笑)。

太田 その大変さはもちろん分かる。1年1年が勝負だもんね。

小林 本当にそう。

太田 と言っても、もうプロ選手として過ごせる残りの日々は長くないと誰もが分かっているじゃん。だからこそ現役を少しでも楽しんでもらいたい。あとは同世代、同級生、特に高校の仲間は定期的に会っていて、みんなで悠のユニホームを着て等々力に応援行こうっていう話をしている。でも悠がユニホームを全然みんなにプレゼントしてくれないから、自分たちで買って行くかと(笑)。

小林 違う違う!! みんなが来てくれた時に俺以外のユニホームを買うからでしょ(笑)。助っ人選手のユニホームとか買っているからね(笑)。俺のユニホームで良いならいつでもあげるよ。

太田 でも、小さい頃から一緒にやってきた仲間だからこそ、プロの世界で戦い続けている悠を応援したいと思っているよ。

――小林選手はプロとして戦い続ける苦労もありそうですが。

小林 もう、毎日、必死に食らいついていますよ。今年は(VARなどで)ゴールが取り消しになっちゃう機会が多いんですが、残りあと何回、ああいう瞬間に出会えるのか、何回あんなプレーができるのか、家族にあと何回見せられるのかと、考えながらプレーしています。だからこそ取り消しになった時は本気で悔しい。言ってもあと10年もできるわけじゃないって分かっているからこそ、みんなの記憶に残るようなプレーがしたい。もちろん結果でフロンターレの勝利に貢献したいし、1点でも取れるようにやっていきたいですね。

太田 播戸(竜二)さんも悠が140ゴール目取った時に言っていたよね。悠があと1点を取れば、自分の記録を越し、途中出場からのゴール数で歴代最多になると(※10月18日のG大阪戦で小林はその得点を記録)

小林 しかも一説によるとギネス記録らしいよ。

太田 マジで⁉ それは絶対に取らないで欲しいな(笑)。

小林 なんでだよ!! ギネスのあの盾、持ちたいじゃん。

太田 確かに、認定されれば、もらえるだろうからね。

小林 ギネス記録となれば、海外でも途中出場でこんなに点を取った選手はいないことの証明になるからね。

太田 こういうのって何かがつながるから、この対談の後に取ったりすると思うよ。しかも等々力で。やっぱり記録達成の瞬間は等々力で見たいしね。

小林 さすがポジティブ。宏介はポジティブの塊みたいな存在だからね。
 
――サポーターもそのゴールを待ち望んでいるはずです。

太田 やっぱりフロンターレのサポーターの熱は凄いですからね。

小林 決めた瞬間の盛り上がり方、本当にありがたい。あの声援を目の当たりにするとアドレナリンが半端なく溢れ出るんだよね。

太田 今のJリーグを見渡しても、悠のように途中出場でスタジアムの雰囲気を変えられる選手ってなかなかいないと思う。

小林 自分ではよく分からないんだけど(笑)。

太田 でも本人は実感がないくらいが良いんだよ。実感して浸っていたらダメだし。

小林 そうだよね。

太田 あの盛り上がり、空気感は、悠の実績、そしてフロンターレのサポーターがいてこそ作りあげられるものだし、両者の歩みがそのまま表われた形だよね。

――記者席から見ていても、小林選手が出てくるとスタジアムの熱が変わるのが分かります。

太田 それだけ期待されている証しですよね。37歳で、途中出場で、あれだけ沸かすことのできるおっさん、なかなかいないですよ(笑)。

小林 おっさんって(笑)。でも身体の変化はめちゃくちゃ感じてはいるよ。前まで届いていたところに届かなくなってきたり、朝起きた時に足の色んなとこが痛かったり、そういうのはやっぱあるもん。

――年齢に抗いながらですね。

小林 まさにですね。本当に一日一日です。それに引退を決断した人たちは『やれるならやったほうが良い』と、言ってくれるんですよ。宏介は綺麗な辞め方でワクワクしながら第2の人生に進んでいったけど、他の人たちは『やれるならもっとやっとけば良かった』って。

太田 いやでも俺もたまに思うよ。もう1年やっていたらどうなっていたかなとか。特に今年はゼルビアがあれだけ調子良いとね。

小林 それこそ宏介はそこまで痛いところもなかったでしょ?

太田 なかったね。

小林 でしょ。俺はもうボロボロだから(笑)。

太田 俺はちょっと手首が痛いくらい(笑)。

小林 それはゴルフのせいだろ!! テーピング巻いておけよ(笑)。俺は怪我が多くて、手術も重ねたから。膝なんて上手く伸びないし、曲がらないし...。気持ちでなんとか踏ん張っているタイプだから。

太田 それこそ悠は大学の時に膝を怪我してプロ生活はリハビリからのスタートだったからね。そう考えるとやっぱりよくやっているよ。膝が上手く曲がらないのにあれだけ点を取っちゃうんだからね。

小林 だって子どもを公園連れて行った時に、知らないお母さんに『膝悪いんですか?』と心配されちゃうんだよ(笑)。『膝大丈夫ですか?』って(笑)。それでやっているんだから大変だよ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

■プロフィール
こばやし・ゆう/1987年9月23日生まれ、東京都出身。177㌢・72㌔。町田JFC―町田JFC Jrユース―麻布台附渕野辺高―拓殖大―川崎。J1通算388試合・141得点。日本代表通算14試合・2得点。川崎サポーターに愛され続ける魂のストライカー。

おおた・こうすけ/1987年7月23日生まれ、東京都出身。179㌢・78㌔。つくし野SSS―FC町田―麻布台附渕野辺高―横浜FC―清水―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。J1通算296試合・11得点。日本代表通算7試合・0得点。レフティSBとして活躍し、昨季限りで現役を引退。現在は町田のアンバサダーなどを務める。
 
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