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【連載】小宮良之の『日本サッカー兵法書』 其の七十三「リオ五輪OA枠――今はまだ頼りない若い選手の“変身”に懸けてみては?」

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2016年06月01日

所属クラブで経験を積んでいる選手たちは「援軍」となり得る。

OA枠だけが解決策か?――。若い選手のなかにも“答え”は見つけられるのではないだろうか。 (C) Getty Images

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 前回、「男子三日会わざれば刮目して見よ」という故事成語を記した。若い選手は経験を重ね、注目を浴び、たった1試合で激変することがある。今は、その機会を必死の思いで掴ませるように仕向けつつ、OAも検討するという両面策が妥当だろう。
 
 例えば、トゥーロンに参加したFW富樫敬真(横浜F・マリノス)は、サイドからのボールを引き出す天性の素質を持っている。
 
 受け手にとっては顔が見え、走り込むコースが分かりやすい選手だろう。クロスを呼び込み、それにインパクトする感覚も悪くない。空間認識力にも優れ、イングランド戦では途中出場の折り、相手DFとハイボールで入れ替わって裏に抜け出ている。
 
 もっとも、富樫はそうして抜け出した後でコントロール精度を欠き、結局はチャンスを潰していた。ポストワークにしろ、単純な「止めて蹴る」で未熟な印象を与える。
 
「技術が足りない」とするのは正論だろう。しかしストライカーとしては、クロスを呼び込み、空間を認知し、タイミングを弁えていることは、大きな可能性である。単なる身体能力以上の要素だろう。
 
 だからといって、富樫が世界の舞台で戦えるか、というと道のりは厳しい。その得点力を大久保と比較したら、フェラーリとトラクターの差になる。もしOA枠を使うなら、大久保なのだろう。
 
 しかし「男子三日会わざれば刮目して見よ」という故事に縋るのなら――。今は頼りなく見える若い選手たちの“変身”に懸けてみるのはどうだろうか?
 
 アジア最終予選には出場していないが、その後に所属クラブで試合経験を重ねている橋本拳人(FC東京)、中村航輔、中谷進之介(ともに柏レイソル)、伊東幸敏(鹿島アントラーズ)、鎌田大地(サガン鳥栖)らは、半年前と比べたら「援軍」となり得るはずだが……。
 
 言うまでもないが、全ては手倉森誠監督の胸三寸にある。
 
文:小宮 良之(スポーツライター)
 
【著者プロフィール】
小宮良之(こみや・よしゆき)/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡り、ジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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