• トップ
  • ニュース一覧
  • なぜ森保ジャパンは中国相手に大量得点できた? 攻撃的な意図が強く出る3バックの戦術的な効果とメカニズム

なぜ森保ジャパンは中国相手に大量得点できた? 攻撃的な意図が強く出る3バックの戦術的な効果とメカニズム

カテゴリ:日本代表

河治良幸

2024年09月06日

チームとしての狙いの共有に個の力を上乗せ

堂安のクロスを三笘(写真)がヘッドで叩き込んで2点目。おそらく森保監督が描いた理想に近い前半だった。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 CKによる1点目から追加点がもたらされるまでの35分間は、なかなか中国のゴールをこじ開けられないもどかしさがありながらも、日本は慌てることなく4バックの中国を揺さぶり、中に閉じれば外側、外に開けば内側と、意図的な攻撃を繰り出していた。

 相手のカウンターを許さない3バックと、背後に構えるGK鈴木彩艶を頼りに、全体を高くしながらボールを動かし、縦に入れるタイミングを図るのだが、いわゆる各駅停車になることなくライン間の選手に縦パスを入れて、前向きに仕掛けて行くという姿勢が中国のディフェンスにプレッシャーをかけ続けた。

 そのなかで、左サイドは三笘が外に張ってボールを受ければ、二人のディフェンスを引き連れて、なおも失わずに縦に運べるわけだが、それによって生じた内側のスペースで上田が左にスライドして縦パスを引き出したり、南野や守田が走り込んだ。

 その形から日本の2点目が生まれてもおかしくなかったが、そうしたチャンスが結果的に、三笘のゴールの布石となった。板倉から右に開くパスを受けた久保が二人のディフェンスを引き付けて、内側後方にポジションを取った堂安をフリーに。中国の対応が間に合う前に、堂安が素早く左足でボールを入れると、上田、南野、守田が構えるゴール前の中央を越えたところに三笘が走り込んで、ヘディングでGKワン・ダレイの逆を突いたのだ。

 3バックをベースとした左右非対称の攻撃、アクセントとなるインからの差し込む攻撃、そして右ウイングバックの堂安のクロスに、左ウイングバックの三笘が合わせて決める。
 
 セットプレーからの先制点も含めて、おそらく森保監督が描いた理想に近い前半だったと言える。こうした流れもあって、敵将のブランコ・イバンコビッチ監督はシステムを4-4-2から5-3-2に変更して、最終ラインのスペースを埋める対応を取らざるを得なくなった。

 それによって日本は3バックの町田や板倉が高い位置で前を向きやすくなり、そこから後半の早い時間帯に南野の2ゴールが生まれて、さらにアジアカップ以来の復帰戦となった伊東純也のゴールなど、大量7得点に繋がっていった。

 もちろん主力が欧州の最前線でプレーする日本と中国では個の能力にも差が見られたのは事実だが、チームとしての狙いの共有に個の力を上乗せしていく組織の強さは、前回の最終予選には明確に見られなかった。

 今回の3バックをベースとした攻撃は1つの成功体験となって、今後の戦いにもプラスになっていくはずだが、おそらく次のバーレーン戦ではまた別の形で相手を上回るものを見せてくれるのではないか。

 もちろん最終予選は何が起こるか分からず、油断は禁物だが、勝利の期待に加えて、現場で立ち会う筆者の目線でも、次は何を見せてくれるのかというワクワク感を隠せないものになってきている。

取材・文●河治良幸

【PHOTO】途中出場に大歓声!代表復帰戦で1G2Aの伊東純也を特集!

【PHOTO】ゴールショーに歓喜した日本代表サポーター(Part1)

【記事】勘弁してくれ!まさかの0-7惨敗に中国代表の選手はショックを隠せず。取材エリアで声を掛けるも無言で立ち去る。エースのウー・レイは首を横に振り…
 
【関連記事】
勘弁してくれ!まさかの0-7惨敗に中国代表の選手はショックを隠せず。取材エリアで声を掛けるも無言で立ち去る。エースのウー・レイは首を横に振り…
【日本7-0中国|採点&寸評】歴史的大勝で全員が及第点以上! 最高評価の「7点」とした5人は? MOMは2ゴールの南野ではなく…
「サウジもやらかした」日本爆勝の裏で…ライバル国が次々に大苦戦!豪州敗戦に続いてサウジアラビアがインドネシアとドローでネット騒然!「C組魔境すぎだろ」「波乱の幕開けだな」
「『純也くん、純也くん』って」「タケがずっと叫んでいて」伊東純也が明かす“久保建英のゴール秘話”【日本代表】
「勝点など獲れるわけがない!」森保ジャパンに“衝撃の大敗”を喫した中国の地元メディアは呆然自失!「日本は強すぎた…」「空中戦は身長差で決まらない」【W杯最終予選】

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ