• トップ
  • ニュース一覧
  • 魅力的なサッカーで注目のJ3福島の“新米監督”。川崎一筋だった寺田周平の就任までの笑いあり涙ありの裏話【インタビュー1】

魅力的なサッカーで注目のJ3福島の“新米監督”。川崎一筋だった寺田周平の就任までの笑いあり涙ありの裏話【インタビュー1】

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2024年08月22日

就任に迷いがなかった理由

昨季までは鬼木監督をコーチとして支えた。様々なことを学んだという。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 川崎のために力を注いできた男に転機が訪れたのは昨年末だった。現役時代に師弟関係を築き、現在は福島のテクニカルダイレクターを務める関塚隆氏、そして福島の玉手淳一強化部長から監督のオファーを受けたのだ。

 光栄な話ではあるが、川崎を離れることに迷いはなかったのか。誤解を招かないようにと前置きしながら、指揮官就任の顛末を振り返ってくれた。

「表現が難しいのですが、正直な言葉で話すと、迷いはなかったと思います。S級ライセンスを取ったあとも、フロンターレのトップチームのコーチなどをやらせていただいて、本当に色々な経験をさせてもらい、感謝し切れない想いです。ただ、年齢を考えた時に、もし監督の話をいただけたら、基本的にはチャレンジしようと決めていた部分はあったんです。それは去年の夏あたりからフロンターレの強化部にも伝えさせていただいていました。具体的にどういうオファーをいただけるかは分からなかったですが、J2、J3、JFLに関わらず、挑戦しないと後悔するという想いがありました。

 それに福島が目指すスタイルは自分のイメージとも近かった。なんだか面白いサッカーができそうだなと。だからこそ様々な意味でスタートを切るには最高のチームだなと。関塚さんとまた一緒にやれることもそうですし、こんな巡り合わせがあるのかと、表現が難しいですが、運が良かった部分があったと思います。やっぱりJリーグの監督って60席しかないわけで、やりたいと言ってやれるものではない。それにS級の同期もみんな監督を目指している。だから断るっていう選択肢を僕は持つことができませんでした。

 それに監督経験がない自分にオファーをくれたのは、相当なチャレンジだと思うんです。その期待に応えなきゃいけない、自分を選んで良かったって感じてもらえるように、頑張らなきゃなっていう気持ちにもなりました」

練習を見守る寺田監督。チームを活気づかせている。(C)SOCCER DIGEST

画像を見る

 昨シーズンの佳境に密かに固めていた想い。それは一蓮托生で歩んできた鬼木達監督にも伝えていた。

「もちろんオニさんには最初に相談と言いますか、意思を伝えさせてもらいました。オニさんは『そうか。俺は正直残ってほしい気持ちがあるけど、周平のチャレンジを後押ししたい』と言ってくれました。そこからは、“監督とは”ではないですけど、色んな話をしてくれました。

 4年間、オニさんの隣で本当に貴重な経験をさせてもらい、いざ監督になる時には、心得ではないですが、色んなこと聞くことができた。まさに最高の環境で、コーチをやらせてもらっていたんだなと改めて実感しましたね」

 昨年末、天皇杯を制し、韓国での蔚山現代戦でACLのグループリーグの6戦無敗での突破を決めた川崎は、2023年の全日程を終えた。その間、新天地が決まっていたからと言って、寺田がコーチとして最後までチームのために働いたことは言うまでもない。

 麻生の練習場で恒例の解散式が行なわれた時、寺田もチームの前で最後のスピーチをした。もっともそのエピソードもなんとも彼らしい。

「あの時、僕を含めてコーチングスタッフ4人がチームを離れることになっていたんですよね。シノさん(篠田洋介フィジカルコーチ)と高桑(大二朗GKコーチ)さん、あと吉田勇樹(コーチ)はアカデミーに行くことになっていて、みんな前に出て、挨拶をさせてもらいました。

 そうしたらマネージャーが気を使ってくれたのか、僕の順番を最後にしてくれたんです。僕も感極まってしまうかなと想像していたんですが、前に話した3人が号泣していて、それを見たら逆に冷静になってしまって。あとで周りから『全然泣かないじゃないですか』って突っ込まれたんですけど(笑)、自分の伝えたかったメッセージをしっかり話すことができました」

 いつでも笑顔が似合う男は、こうして川崎と良い別れを果たし、“新米監督”として希望を抱きながら福島へと旅立ったのである。

■プロフィール
寺田周平 てらだ・しゅうへい/1975年6月23日、神奈川県生まれ。東海大を経て、川崎一筋でCBとしてプレーし、日本代表にも選出。引退後は川崎でアカデミーの指導などを務めながら、2020年からはトップチームのコーチとして鬼木達監督を支えた。今季から監督初挑戦として福島の指揮官に就任。

取材・文●本田健介(サッカダイジェスト編集部)

インタビュー2はこちら

インタビュー3はこちら

■8月31日はスタジアムへ!
8月31日(土) 18:00
北九州戦(とうほう・みんなのスタジアム)
は「集まれ5,000人!ユナまつり」と題し
様々なイベント(花火やベースボールシャツをプレゼントなど)を企画中!
詳細は下記へ
https://fufc.jp/lp/2024/0831/

【記事】「俺の目は間違ってねぇ」内田篤人が数年前に日本代表入りを“確信”した俊英は?「森保さんも『上まで来る』と言ってたらしい」

【PHOTO】日本代表を応援する麗しき「美女サポーター」たちを一挙紹介!
 
【関連記事】
「要するに戻りオフサイド」元国際審判員の家本政明が細谷真大のゴール取り消しを解説「競技の精神は関係ありません。事実が全て」【パリ五輪】
現代サッカーをどう思うか――小野伸二の質問に中村俊輔の答は?「ファンタジスタ的な考え、10番的なスタイルの人からすると...」
「A代表に食い込んでくる」五輪代表から森保ジャパンに“昇格”するのは? 元日本代表DF槙野智章が持論「すごかった」【パリ五輪】
「世界のトップ5は可能」川崎FWゴミスが日本サッカーの躍進に期待!「若手世代は非常に素晴らしい練習をしている」
“復活弾”の三笘薫がリーグ公式のベスト11に堂々選出! 英伝説FWも絶賛「彼のスキルや運動量にエバートンは対処できなかった」

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ