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【大岩ジャパン総括】879日――紆余曲折の航海を続けた2年半の物語。未来に残したレガシーとロスへの宿題

カテゴリ:日本代表

松尾祐希

2024年08月08日

2年半で87名の選手を招集

初の海外遠征となった22年3月のドバイカップ。3戦全勝で優勝を飾った。写真:松尾祐希

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 障壁を乗り越えながら、いかにチームマネジメントをしていくのか。

 不安を抱えながら大岩ジャパンはスタートするなかで、最初の1年半ほどは海外遠征を中心に強化を進めた。欧州以外は五輪世代のチームが立ち上がっていなかった側面もあるが、インターナショナルマッチウィークの活動ではヨーロッパを転戦できた点は大きい。

 列強国に胸を借り、今までの経験不足を埋めるように“未知との出会い”で強化を図れたのはプラスだった。クラブで出場機会を得ていない選手も海外勢との戦いで世界基準という“物差し”を手に入れ、それぞれがチームに戻って研鑽を積んだ。

 また、いつ誰がメンバーに入ってもいいように、主軸に頼るようなチーム作りをしなかった点も見逃せない。前線からのハイプレスと速攻、ビルドアップと遅攻を使い分ける戦術に的を絞ってシンプルに落とし込み、本大会に辿り着くまでの2年半で87名の選手を招集した。

 3年半を超える活動となった東京五輪世代を上回る人数であり、ラージグループを形成しながら活動ごとに招集できる面々でチームを強化。組織の輪を乱せば、一時的にメンバーから外すなど、厳しくも愛のある指導で大岩監督は結束力も培ってきた。
 
 試行錯誤しながら選手と向き合ってきた大岩監督だが、冷静にアクシデントや想定外の出来事に対応できたとしても、どうにもならない事象もあった。

 世代別代表を率いるのも、五輪チームを率いるのも今回が初めて。3か月前に出場機会を得ていた選手が突如として出番を失うケースも多く、海外移籍を決断した選手が燻る事象も少なからず起きた。そして、何より頭を抱えたのが、パリ五輪の最終予選を兼ねるU-23アジアカップの開催時期が決まらなかった点だ。

 本来であれば、24年1月にカタールで開催される見込みだった。しかし22年5月に、23年6月に中国で予定されていたA代表のアジアカップが延期に。中国がコロナ禍の影響で開催地を返上し、22年10月に代替地としてカタールが選ばれ、23年2月に新たな日程として24年1月開幕がアナウンスされた。

 そうなると、U-23アジアカップを同時期に同じ場所で開催するのは不可能。「いろんなことが起こるのは大前提で監督を引き受けた」という大岩監督も、こればかりはどうすることもできず、苦悩があったという。

「ターゲットが決まらなかった時は本当に苦しかった。最終予選がいつになるか分からないということよりも、情報が二転三転したことが辛かった。年末になるかもしれない、3月になるかもしれない、4~5月になるかもしれない、本大会前の6月になるかもしれない。誰にも分からないから、感情をどこにぶつけていいか分からないし、選手たちも当然不安になるし。目標がないので、チームがどこを目ざしているのか分からない。その時期は本当にしんどかった」

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