バイエルン戦の一撃で市場価値を倍増させた。
惜しくも優勝には手が届かなかったものの、今シーズンも最後までリーガを盛り上げたアトレティコ。快進撃を見せたチームでとくに価値を高めたのが、サウール・ニゲスとヤン・オブラクのふたりの若手有望株だ。
テクニックとパスセンスに優れ、常に平静を保つメンタルの強さを持ち合わせるサウールは、走れるし戦える、まさにオールラウンダーなMF。21歳にしてディエゴ・シメオネ監督の信頼を勝ち取り、シーズン半ばから中盤のレギュラーに定着した。サイドハーフに加えて中央や4-1-4-1のアンカーなど、中盤のほぼ全てのポジションに対応するなど、使い勝手の良さも大きな魅力。勝負度胸もあり、CL準決勝のバイエルン戦では勝利につながる重要なゴールを決めている。この一撃で彼は、市場価値を倍増させたとも言われている。
リーガ最少失点と堅牢を築いたアトレティコのディフェンスを支えたのが、23歳のオブラクだ。マヌエル・ノイアーやマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンのようなモダンなタイプではなく、ジャンルイジ・ブッフォンの系譜に連なる古典的なGKで、足元でボールを扱う技術やパスセンスは凡庸ながら、鋭い反応や大舞台での勝負強さを武器に幾度となくチームを救った。
昨シーズンは開幕前に退団したティボー・クルトワの不在を嘆く声もあったが、この男の成長により、そうした声は完全に聞かれなくなった。ダビド・デ・ヘア、クルトワ、そしてオブラク。アトレティコが世界的GKを続け様に輩出した事実は、クラブの近年の急成長と無関係ではない。
ラス・パルマスを残留に導き、ファン・カルロス・バレロンの後継者に選ばれたホナタン・ビエラも大きく株を上げたひとり。戦力的に乏しい昇格組で10得点・9アシストは立派だ。本人は「スペイン代表に入りたい」と公言しており、仮に実現できれば、市場価値はさらに上がるはずだ。
それ以外では、ラージョ・バジェカーノの攻撃的MFホサベド・サンチェス、それぞれセルタの中盤、デポルティボの前線を支えたダニエル・ヴァスとルーカス・ペレス、アスレティック・ビルバオの攻撃に不可欠な存在へと成長したイニャキ・ウィリアムスなども、今シーズンに一躍名を揚げた注目株。今夏の移籍市場を沸かせる存在となるはずだ。
【著者プロフィール】
豊福晋/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。
テクニックとパスセンスに優れ、常に平静を保つメンタルの強さを持ち合わせるサウールは、走れるし戦える、まさにオールラウンダーなMF。21歳にしてディエゴ・シメオネ監督の信頼を勝ち取り、シーズン半ばから中盤のレギュラーに定着した。サイドハーフに加えて中央や4-1-4-1のアンカーなど、中盤のほぼ全てのポジションに対応するなど、使い勝手の良さも大きな魅力。勝負度胸もあり、CL準決勝のバイエルン戦では勝利につながる重要なゴールを決めている。この一撃で彼は、市場価値を倍増させたとも言われている。
リーガ最少失点と堅牢を築いたアトレティコのディフェンスを支えたのが、23歳のオブラクだ。マヌエル・ノイアーやマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンのようなモダンなタイプではなく、ジャンルイジ・ブッフォンの系譜に連なる古典的なGKで、足元でボールを扱う技術やパスセンスは凡庸ながら、鋭い反応や大舞台での勝負強さを武器に幾度となくチームを救った。
昨シーズンは開幕前に退団したティボー・クルトワの不在を嘆く声もあったが、この男の成長により、そうした声は完全に聞かれなくなった。ダビド・デ・ヘア、クルトワ、そしてオブラク。アトレティコが世界的GKを続け様に輩出した事実は、クラブの近年の急成長と無関係ではない。
ラス・パルマスを残留に導き、ファン・カルロス・バレロンの後継者に選ばれたホナタン・ビエラも大きく株を上げたひとり。戦力的に乏しい昇格組で10得点・9アシストは立派だ。本人は「スペイン代表に入りたい」と公言しており、仮に実現できれば、市場価値はさらに上がるはずだ。
それ以外では、ラージョ・バジェカーノの攻撃的MFホサベド・サンチェス、それぞれセルタの中盤、デポルティボの前線を支えたダニエル・ヴァスとルーカス・ペレス、アスレティック・ビルバオの攻撃に不可欠な存在へと成長したイニャキ・ウィリアムスなども、今シーズンに一躍名を揚げた注目株。今夏の移籍市場を沸かせる存在となるはずだ。
【著者プロフィール】
豊福晋/1979年、福岡県生まれ。2001年のミラノ留学を経て、フリーで取材・執筆活動を開始。イタリア、スコットランドと拠点を移し、09年夏からはスペインのバルセロナに在住。リーガ・エスパニョーラを中心に、4か国語を操る語学力を活かして欧州フットボールシーンを幅広く、ディープに掘り下げている。独自の視点から紡ぐ、軽妙でいて深みのある筆致に定評がある。