【横浜】世界も認める“名手”俊輔がPKを蹴らなかった理由

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2016年05月01日

シュートを外したルーキーに拍手を送る。

まだまだ全体的に粗さが目立つものの、思い切りの良いプレーで存在感を示した18歳のルーキー遠藤(18番)。中村も「ずば抜けたものを持っている」と期待を寄せる。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 湘南のGK村山からすれば、中村がキッカーでなかったことに安堵したようだ。カイケだから安心した、というわけではない。この重要な場面で、“中村俊輔”という存在がゴールを決めた後の展開を危惧していたからだ。
 
「俊輔選手に決められていたら……。エースというか、チームの中心選手が決めると、そこでガラッと勢いが出てくるから」(村山)
 
 百戦錬磨の中村にとって、自らの影響力は十分に理解しているはず。それを差し置いてでも、カイケが自信を付けること、またそうすることでチーム力がさらに高まることを見据えて、キッカーを託したのだろう。
 
 チームメイトの成長を促すことは、腕章を巻く中村のなかでは重要なテーマと位置付けているはず。とりわけ、遠藤や富樫、新井らルーキーに対しては、気持ち良くプレーさせようという気遣い・気配りが見て取れる。
 
「それは普通のこと。ミスしたから、別にどうこうじゃない。だって、1年目でしょ。試合に出られるだけ凄いんだから。(遠藤)渓太とか、(プレー自体が)よく見えないかもしれないけど、ずば抜けたものを持っている。監督の指示があるなかで、こういうのもあるよ、お前の良さはこういうのもある、とかね」
 
 29分、サイドから中にドリブルを仕掛けた遠藤は、フリーランで外に開く動きを見せた中村を“無視”して、そのまま思い切り良くミドルを放つ。ボールは枠を捉え切れなかったが、中村は自分のポジションに戻りながら、遠藤に対して“それでいいよ”と言うように拍手を送っている。
 
「(自分の動きが)見えていなかったのかもしれないけど(笑)。でも全然、良いでしょ。普通の選手だったら、シュートモーションまでいけない。ポジティブに捉えないと。自分もそういう風にしてもらったし」
 
 湘南戦でチームトップの総走行距離(11.965km)を記録したのは、37歳の中村である。誰よりも上手い選手が、誰よりも走りながら、チームのことを考えている。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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