それも今季初先発での起用だった。左SBで出場した山中は、P・ジュニオールら神戸の強力な攻撃陣に臆せず、激しく身体をぶつけるなど下平監督のスタイルにすぐさま順応する。攻撃時は中盤とほぼ並列になるほど高い位置をとり、その攻撃センスを存分に発揮。そして15分のFKを決め、待望のJ１初ゴールを挙げた。
 
　「あそこでひとつ自分の持ち味を出せたことはすごい自信になりました。チームとしても苦しい時間帯だったので、あの１点がチームを助けたんじゃないかなと思ってます」
 
　自信に満ち溢れた表情に焦りは感じられず、堂々としたものだった。19歳の中山など若い選手が台頭する柏において、23歳の山中はすでに"中堅"という意識も持っている。
 
　「僕よりも若い選手がたくさん出てるので、いつまでも（自分が）若い選手と思っていられない。しっかり責任感を持ってやっていかないといけない年齢になってきたなと思ってます」
 
　熾烈なチーム内のポジション争いに向け、リオ五輪世代期待のSBが自慢の左足を武器に再起を期す。

取材・文：多田哲平（サッカーダイジェスト編集部）