【韓国メディアの視点】対岸の火事ではない!? 市民クラブの多くが深刻な財政難に…

カテゴリ:連載・コラム

慎武宏

2016年04月28日

多くの市民クラブが深刻な赤字状態。身売りの話も絶えない……。

G大阪が昨年ACLで対戦した城南FCも、2013年に母体を変えて市民クラブとなった。韓国では、今こうした市民クラブの財政難が大きな問題となっている。(C) Getty Images

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 仁川ユナイテッド(以下、仁川U)のこうした転落ぶりは、何も現行の経営陣だけの責任ではない。むしろ仁川Uは、2014年7月に現職を下して仁川市長に就任し、同時に仁川Uのオーナーになったユ・ジョンボク市長の号令の元で“構造調整”という名のリストラや経営のスリム化を実施してきたが、改革が過去の赤字清算に追いつかない状況だという。
 
 2014年仁川アジア大会の負債を抱える仁川市の支援も潤沢ではない。市は15年に43億ウォン、16年には29億ウォンを広告費名目でクラブに支給しているが、Kリーグではチーム運営に最低でも年間140億ウォンはかかるとされているだけに、市からの支援金だけでは賄えない。それを補うスポンサー収入、入場者収入などが不可欠だが、それらの収入は“すずめの涙”。そんな苦しい状況が今回の問題の背景にある。
 
 そして、そうした状況に立たされているのは、なにも仁川Uだけではないというのが韓国サッカー記者たちの意見だ。韓国では02年ワールドカップを前後して、仁川U、大邱FC、光州FCなどワールドカップの試合会場となった都市はもちろん、江原FC、慶南FCなどの市民クラブが続々と誕生したが、その財政事情はどこも苦しい。
 
 地域の政治家たちの選挙公約として立ち上がったケースが多い韓国の市民クラブは、母体企業や有力なスポンサーを持たず、市主導で市民や地元企業らの出資を募って運営されているが、ほとんどのクラブが深刻な赤字状態にあり、選手はもちろんクラブ職員たちの月給さえも先送りすることも多く、いくつかの市民クラブは身売りの話も絶えないのである。
 
 そんななかで発覚した仁川Uの給料未払い問題を、Kリーグはいかに解決するのだろうか。海を越えた隣国で、市民クラブが岐路に立たされている。
 
文:慎 武宏(スポーツライター)
 
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