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「日本人という枠だけでなく、世界的に見ても最高峰」アーセナル冨安健洋が“痺れる”プレミア優勝争いを語る「誰しもができる経験ではない」

カテゴリ:メガクラブ

松澤浩三

2024年05月17日

「長引いたのでストレスは溜まりました」

 昨年はシーズン終盤の3月に膝の故障でリタイアを強いられ悔しい思いをした冨安だが、逆に今年はシーズン佳境の大事な局面に入り、重宝される存在となっている。その結果が、4月23日のチェルシー戦で先発復帰を飾って以来、4戦連続先発出場であり、前述のユナイテッド戦を含めた直近3試合の連続フル出場だ。

 とはいえ、道のりは楽なものではなかった。12月2日のウォルバーハンプトン戦の後、古傷のふくらはぎを痛めて4週間にわたり戦線離脱。同31日のフルアム戦で復帰を果たしたものの、1月にはアジアカップ参戦のため再びチームを離れることになる。

 同大会ではグループリーグ2戦目から出場し、日本代表の守備の要として活躍。だが1-2で敗れた準々決勝のイラン戦で再び負傷をして、その影響からロンドンに戻った後も戦列離脱を余儀なくされた。最終的にチームに戻ったのは3月31日。アーセナルで最後に試合を出場してから丸3か月が経過していた。

「元々1~2週間の予定だったのですけど、ちょっと長引いたのでストレスは溜まりましたし、長く感じましたね(苦笑)」

 冨安自身も予想だにしていなかった状況だった。

 それでもチームは優勝争いを最後まで続け、冨安自身もこのシーズン終盤の最重要の局面で頼れる戦力として戻ってきた。そして迎える最終節。背番号18は「僕らは僕らのやることをやる、というか。勝ち続けるしかないので、それが最後(最終節)までつながって良かったと思います」と意気込んだ。
 
 囲み取材の最後に、筆者はこんな質問をぶつけてみた。

「25歳の現時点で、世界最高峰のプレミアリーグの舞台でこの優勝争いをできるという状況は、自身のキャリアの中で描いていた青写真どおりか?」

 いつも通り一呼吸をおいて、質問の意図をしっかりとかみ砕いた上で、彼はこう答えた。

「いや、そこまで先のことを見てここまで来たわけではないですね。まあ、でも間違いなくこの経験ができるというのは、日本人としてという枠だけでなく、世界的に見ても世界最高峰...。今で見れば、間違いなく世界でも最もレベルの高いリーグだと思いますし、その中で最後の試合まで優勝争いをできるというのは、本当に誰しもができる経験ではない。あとは、アーセナルの歴史を見ても、タイトルを取れば歴史に名を刻むことができるので、歴史に名を刻めればいいなと思います」

 アーセナルが最後にリーグ制覇を飾ったのは2003-04シーズン。今から20年前まで遡る。チームが悲願の優勝を果たすには、ホームのエミレーツスタジアムでエバートンに勝利して、さらにシティがこちらもホームのエティハドスタジアムでウェストハムに引き分け以下で終わることが条件。自力だけではなく、他力も必要な厳しい状況なのは間違いない。

 果たして、冨安は北ロンドンの地でレジェンドになることができるのか。注目の最終節のキックオフまであと2日だ。

取材・文●松澤浩三

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