「あれは僕のミスだった」と自分から切り出し...
ドイツ語で30分間、率直な心境を言葉にし続けた。長谷部はメディアに感謝の言葉を述べたが、メディアサイドも長谷部には感謝の思いでいっぱいだ。僕自身がそうであるし、フランクフルトの番記者はみんな、ことあるごとに長谷部の対応の素晴らしさに賛辞を贈っている。
個人的に思い出すのは2021年、ホームでのブレーメン戦だ。89分にフランクフルトがアンドレ・シウバ(現レアル・ソシエダ)のゴールで逆転に成功し、あと数分で勝点3を手にすることができるはずだった。だがアディショナルタイム1分、ゴール前でのこぼれ球の競り合いに必死に駆け出した長谷部だったが、伸ばした足はボールではなく、ブレーメンMFのディビィ・クラーセン(現インテル)を倒してしまった。響き渡る笛の音。このPKを決められ、引き分けで試合は終わった。
自分のミスで勝点3を獲り逃したともなれば、フラストレーションがあふれ、感情をコントロールしきれず、メディアの前に立ちたくない選手もいるだろう。だが、長谷部は普段通りにミックスゾーンに現われ、地元メディアに向けて、「あれは僕のミスだった」と自分から切り出し、反省の弁を述べ、「でも、サッカーってそういうものだから」とこぼした。
地元記者は「わかっているよ」といわんばかりに温かい微笑みでそんな長谷部の言葉にうなづいていた。
個人的に思い出すのは2021年、ホームでのブレーメン戦だ。89分にフランクフルトがアンドレ・シウバ(現レアル・ソシエダ)のゴールで逆転に成功し、あと数分で勝点3を手にすることができるはずだった。だがアディショナルタイム1分、ゴール前でのこぼれ球の競り合いに必死に駆け出した長谷部だったが、伸ばした足はボールではなく、ブレーメンMFのディビィ・クラーセン(現インテル)を倒してしまった。響き渡る笛の音。このPKを決められ、引き分けで試合は終わった。
自分のミスで勝点3を獲り逃したともなれば、フラストレーションがあふれ、感情をコントロールしきれず、メディアの前に立ちたくない選手もいるだろう。だが、長谷部は普段通りにミックスゾーンに現われ、地元メディアに向けて、「あれは僕のミスだった」と自分から切り出し、反省の弁を述べ、「でも、サッカーってそういうものだから」とこぼした。
地元記者は「わかっているよ」といわんばかりに温かい微笑みでそんな長谷部の言葉にうなづいていた。
記者だけではない。試合後、さすがに失望を隠しきれずにピッチにしばらく立ち尽くす長谷部を、当時監督だったアディ・ヒュッターは何度も何度も抱き寄せ、大きなボディランゲージを交えて声をかけ続けていた。
どれだけ重要な存在なのか。誰だってミスを犯すことはある。この日も、長谷部のプレーに、存在にチームは何度も救われていたのだ。そのことをフランクフルトの関係者はみんなわかっているから。これまでも、いまも、そしてきっと、これからも。
ブレーメン戦後のコメントを聞き終えた地元記者の一人が、僕に話しかけてきた言葉は今でも僕の心に残っている。
「あれこそがなぜハセベが『プロ選手の鏡』と呼ばれる所以だよ。勝った後に機嫌よく話すことは誰でもできる。だが負けた試合の後でも、大きなミスをした後でも、長谷部はいつも通りに対応してくれる。あれが勇気というものだ。あれこそがプロフェッショナルというものだ」
取材・文●中野吉之伴
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どれだけ重要な存在なのか。誰だってミスを犯すことはある。この日も、長谷部のプレーに、存在にチームは何度も救われていたのだ。そのことをフランクフルトの関係者はみんなわかっているから。これまでも、いまも、そしてきっと、これからも。
ブレーメン戦後のコメントを聞き終えた地元記者の一人が、僕に話しかけてきた言葉は今でも僕の心に残っている。
「あれこそがなぜハセベが『プロ選手の鏡』と呼ばれる所以だよ。勝った後に機嫌よく話すことは誰でもできる。だが負けた試合の後でも、大きなミスをした後でも、長谷部はいつも通りに対応してくれる。あれが勇気というものだ。あれこそがプロフェッショナルというものだ」
取材・文●中野吉之伴
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