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稀代の名将に最高の花道を…フライブルクの堂安も“ラストスパート”モードに切り替わっている【現地発コラム】

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2024年04月06日

「あと7試合すべて勝つ気持ちでいます」

 選手一人ひとりに寄り添い、成長をサポートできるようにと気を配る。交代選手がピッチから下がってきたら、ほぼ例外なく抱き寄せて労をねぎらう。うまくいかない試合でフラストレーションを抱える選手がいたら、翌日じっくりと話を聞く。選手からしたら心から信頼できるし、自身を成長へと導いてくれる指揮官だ。感謝の思いは人一倍だろう。

 オーストリア代表のFWミヒャエル・グレゴリチュは辞任表明を受けて「ここで12年間も監督という仕事をやり通した。最大限のリスペクトに値することだ。ここからは可能な限り美しい花道を飾れるかだ。最高のギフトは勝利」とチームの思いを代弁。日本代表のMF堂安律も「彼(監督)がいいシーズンだったと思ってもらえるように」と奮起を誓っている。

 辞任表明後、最初のゲームとなったボルシア・メンヘングラッドバッハ戦では、アウェーながら3-0で快勝。シュトライヒは普段通りにピッチサイドでチームとともに戦っていた。それこそ3点差になっても鋭い視線でチームを観察し、時に大きな声で檄を飛ばしていたほどだ。
 
 軽率なボールロスト後に右サイドからのクロスを許し、際どいヘディングシュートを打たれた71分には、ピッチに侵入する勢いで飛び出して叱責。ピリピリとしたエネルギーを選手も感じ取っていただろう。

「チームが勝ってくれたことがとてもうれしい。(今季)最後の8試合でいくつか勝ちたいと思っていたから。いい終わりを迎えたい。でもそれは思いだけではダメで、パフォーマンスが伴わないといけない。それを今日、チームが見せてくれたのだからうれしいんだよ」

 ボルシアMG戦の勝利でヨーロッパの舞台への道もまた開けてきた。同節の結果により、6位フランクフルトの勝点差は5へと縮まっている。キャプテンのクリスティアン・ギュンターは「順位表の下ではなく上を見て、より大きな目標を持って取り組んでいきたい。ヨーロッパを目標にしなきゃ」と試合後に明言した。

 この日見事なゴールを決めた堂安も“ラストスパート”モードに切り替わっている。

「あと7試合すべて勝つ気持ちでいます。上位との試合がほとんどないので(28節のRBライプツィヒ戦後、上位チームとの対戦がない)。ほとんど下位との対戦なので、チャンスはあるかなと思います」

 稀代の名将に最高の花道を――。チーム、ファン、スタッフが一丸となって、最後の道を駆け抜ける。

取材・文●中野吉之伴
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