イスコは「引退するのはまだ早い」
もうお分かりだと思うが、私はクロースが大好きだ。ピッチ全体を見渡しながら、時にはショートパスで、時には40メートルの正確無比なパスで局面を変えるその広い視野は、彼をチームの中枢に押し上げている。クロースがどこにいようと、影響力は絶大で、試合の流れに応じて左サイドバックにポジションを取り、チームを動かす。
しかしそのサッカーの物静かさゆえに、はっきりした貢献度が分かりにくく、時に相手チームからも存在が軽視されているのではないかと思えるほどだ。毎試合、ボールに触る回数が最も多い選手であるという事実を突きつけられて、「そこまで強い影響力を行使しているのに、どうして目立たないのだろう」と不思議に感じる人たちもいるかもしれない。
しかし分かる人には分かる。元チームメイトのイスコ(ベティス)が、「引退するのはまだ早い。せめてあと2、3年は続けてほしい、そうすれば僕たちは彼を楽しむことができる」と訴える。
もっとも、楽しみ云々を語る以前に、クロースはマドリーにとって必要不可欠な存在だ。マドリーにはクオリティの高い選手で溢れており、来シーズンも、そのスペクタクルさに目を奪われる魅惑的なクラックが新たに加入すると言われている。
しかしそのサッカーの物静かさゆえに、はっきりした貢献度が分かりにくく、時に相手チームからも存在が軽視されているのではないかと思えるほどだ。毎試合、ボールに触る回数が最も多い選手であるという事実を突きつけられて、「そこまで強い影響力を行使しているのに、どうして目立たないのだろう」と不思議に感じる人たちもいるかもしれない。
しかし分かる人には分かる。元チームメイトのイスコ(ベティス)が、「引退するのはまだ早い。せめてあと2、3年は続けてほしい、そうすれば僕たちは彼を楽しむことができる」と訴える。
もっとも、楽しみ云々を語る以前に、クロースはマドリーにとって必要不可欠な存在だ。マドリーにはクオリティの高い選手で溢れており、来シーズンも、そのスペクタクルさに目を奪われる魅惑的なクラックが新たに加入すると言われている。
しかしそんな中でも戦略家になれるのはクロースしかいない。試合を支配し、周りを調和させ、タクトを振るうことで、個性派集団のマドリーを一つのチームとして機能させている。このますますフィジカル化が進む昨今、筋肉をひけらかすことなく、慌てずに試合を支配するクロースのインテリジェンス溢れるプレーはサッカーの醍醐味とは何かを我々に教えてくれている。
絶滅危惧種となりつつある世界で最も生産性の高いインビジブルなフットボーラーが紡ぎ出す一つ一つのプレーに注目だ。
文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳●下村正幸
【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。
【記事】「傷ついたから避けて欲しかった」久保建英は暴力的行為を受けたカディスMFと何を話していたのか? 本人に訊いた「僕も熱くなってたんで...」
絶滅危惧種となりつつある世界で最も生産性の高いインビジブルなフットボーラーが紡ぎ出す一つ一つのプレーに注目だ。
文●ホルヘ・バルダーノ
翻訳●下村正幸
【著者プロフィール】
ホルヘ・バルダーノ/1955年10月4日、アルゼンチンのロス・パレハス生まれ。現役時代はストライカーとして活躍し、73年にニューウェルズでプロデビューを飾ると、75年にアラベスへ移籍。79~84年までプレーしたサラゴサでの活躍が認められ、84年にはレアル・マドリーへ入団。87年に現役を引退するまでプレーし、ラ・リーガ制覇とUEFAカップ優勝を2度ずつ成し遂げた。75年にデビューを飾ったアルゼンチン代表では、2度のW杯(82年と86年)に出場し、86年のメキシコ大会では優勝に貢献。現役引退後は、テネリフェ、マドリー、バレンシアの監督を歴任。その後はマドリーのSDや副会長を務めた。現在は、『エル・パイス』紙でコラムを執筆しているほか、解説者としても人気を博している。
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙に掲載されたバルダーノ氏のコラムを翻訳配信しています。
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