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[本田泰人の眼]アジアレベルで8失点...W杯で優勝など夢物語だ。SBの人選は見直すべき。私が監督なら右は酒井宏樹だ【アジア杯】

カテゴリ:連載・コラム

本田泰人

2024年02月10日

左SBの一番手は旗手怜央

なぜ酒井を呼ばないのか不思議だ。次のW杯で35歳。まだまだ戦える。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 失点をなくすには、セットプレーとロングボールの対策、あとはサイドバックの強化が急務だろう。とりわけサイドバックの人材不足は深刻だ。人選から見直す必要がある。

 現在、日本の左サイドバックは伊藤洋輝、中山雄太とCBもできるタイプが揃う。一方、右サイドバックは菅原由勢、毎熊晟矢とCBではない攻撃的な選手が揃う。

 今大会で言い続けてきたように、サイドバックはサイドのバック=ディフェンダーが本業だ。まずは守備ありきでプレーできる、しっかり相手の攻撃を跳ね返せる能力を持った選手を選ぶべきだ。

 アジアカップでのパフォーマンスを見た時、合格点を与えられるのは、毎熊くらいだろう。攻撃的な選手だが、守備の意識が高い。アジアカップでの経験を活かして、さらに成長してくれれば、もっと安定したプレーを発揮できる。伊藤はスピードがあるがまだまだ守備意識が甘いし、中山は周りを活かすプレーができていない...。

 タレント力だけを見れば、アジアの中で日本はトップレベルだ。しかし本当にワールドカップ優勝を目ざすならば、欧州の第一線でプレーする冨安健洋、板倉、遠藤航に続く選手が出てこないと厳しい。

 イラン戦での板倉は、体調不良なのかミスを繰り返したが、この3人は日常的に欧州リーグの厳しい環境でプレーしているから守備意識が高い。守備意識とは、危機察知能力とも言い換えられる。失点につながるプレー回避や、その判断が的確だ。「危ない!」と思える判断が早い。菅原は守備においてそれができていない。

 現状、私が監督なら、右サイドバックは酒井宏樹の代表復帰を依頼し、左サイドバックは旗手怜央を一番手に起用する。
 
 旗手はスタミナが豊富で守備意識が高い。気の利いたプレーができるからどんな選手とも合わせられる。今の日本代表の左サイドには三笘薫、守田、谷口など、かつての川崎フロンターレのチームメイトが多いのもメリットだ。

 それにしても、酒井はなぜ選ばれないのかが不思議だ。現在彼は33歳。次のワールドカップを迎える時は35歳。まだまだ戦える。チーム内の競争を活性化させるためにも、世代交代はもちろん必要だ。しかし、日本代表というチームは文字どおり日本を代表するベストな選手が選ばれるべきだ。若手もベテランも関係ない。酒井以上にサイドバックで欧州のキャリアを持つ選手はほぼいない。

 今回のアジアカップで、日本は4強にさえ進めなかった。イランには気力、体力、パワーで負けた。「陣地挽回」すらできなかった。

 この敗戦で得た教訓は、原点に立ち戻ることだ。日本の技術的レベルは抜けているが、それだけでは勝てない。ワールドカップの出場枠は増えたとはいえ、このままアジアカップで見せた戦いのままなら、どうなるか分からない。

 チャレンジャーとして、フィジカル・パワー・スピード・メンタルの根本から鍛え直す。イランのように戦ってきても、それを上回るだけの「失点しないチーム」を作りあげていってほしい。

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