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[本田泰人の眼]アジアレベルで8失点...W杯で優勝など夢物語だ。SBの人選は見直すべき。私が監督なら右は酒井宏樹だ【アジア杯】

カテゴリ:連載・コラム

本田泰人

2024年02月10日

ジーコは守備のことばかり言ってきた

アジア杯の全5試合でクリーンシートはなし。失点の多いチームは、目の前の試合に勝つことすら難しくなる。写真:サッカーダイジェスト(現地特派)

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 5試合で8失点――。これが、アジアカップで日本が敗れた理由のすべてだ。

 日本は準々決勝のイラン戦で逆転負けを喫した。前半に守田英正のゴールで先制したものの、後半にイランのパワープレーに屈する形で2失点し、ベスト8で大会を終えた。

 ロングボール対策の課題、セットプレーの準備、GK鈴木彩艶の不安定なプレー、板倉滉のコンディション不良など、イラン戦は日本の弱点がすべて露呈した試合となった。

 とりわけ後半、イランのハードワークに苦しみ、競り合いにも負け続けた。終了間際に与えたPKを鈴木がストップしていたら、息を吹き返していたかもしれない。ただ、あの時点で、あれだけイランのパンチを喰らっていたら、もはやノックアウト状態だ。

 町田浩樹や谷口彰悟を入れて5バックにしたところで、その後のイランのパワープレーを跳ね返す余力はもはや残っていなかっただろう。

 日本はイランやイラクのように撃ち合いに持ち込んでくるチームに弱い。言い換えれば、ファイティングスピリットを前面に押し出してくるチームに対する「耐性=タフさ」が足りない。スカウティング的には、今後に日本と対戦するチームに、「地上戦を避けて空中戦に持ち込めばいい」というお手本を見せてしまった。

 リードを守り切れなかったイラン戦の後半しかり。アジアレベルでこれほど失点するようでは、ワールドカップ優勝は夢物語だ。失点の多いチームは、優勝はもちろん、目の前の試合に勝つことすら難しくなる。
 
 守備の重要性はいつの時代でも同じだ。私が現役時代、鹿島アントラーズでジーコから言われたことも、まさにそれだ。

「ボールを奪われたら早く守備をするんだ!」
「全員がもっと守備の意識を持たないとダメだ!」

 日々のトレーニングはもちろん、試合前のミーティングでもピッチの上でも、とにかくジーコは守備のことばかり言ってきた。

 ジーコといえば、かつてブラジルの10番を背負ったスーパースターだ。華麗なスルーパスやテクニックでファンを魅了するイメージが強かっただけに、守備のことを言われた時はとても驚きだった。ただ、守備意識がチームに浸透したことで勝てるようになって、いつしか鹿島は常勝軍団と呼ばれるようになった。

 話をアジアカップに戻すと、8強敗退の日本は5試合で12得点をマークした。得点数で言えば、ベスト8のチームの中で最も高い得点数を叩き出している。2位は11得点の韓国、3位は10得点のイラン、ヨルダンと続いている。

 しかし失点数は先述のとおり、毎試合失点を重ね、5試合で8失点だ。この数字はベスト8のチームの中で、韓国と並んでワーストだ。アジアカップの日本は、得点も多いが失点も多かった。

 日本は、イランやカタールのように撃ち合いに持ち込むサッカーを目ざしているわけではない。それで勝ち切れるほどのタフさもない。ならば、失点を減らすことが今後の課題だ。

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