「俺は超えたぞと言いたいんですけど...」
プレッシャーを感じながら大会に向けて準備を進めていく最中、開幕前に日野が練習に訪れたという。そこで久々に言葉を交わし、多くの助言やプレーのヒントをもらったことでモチベーションはさらに高まった。
「チームの雰囲気をもっと良くしたほうがいいというアドバイスはもらった。ただ、それ以上にプレーでいろんなことを示してくれたんです。一つひとつのパススピードやプレスをかけるタイミングや追い方。明らかに違うんです。練習から本気でやってくれて、本当に参考になった」
ここまで示してくれた先輩に対し、年始の約束を果たさないわけにはいかない。気持ちを引き締め直したキャプテンは決意を新たに本大会に臨んだ。
「チームの雰囲気をもっと良くしたほうがいいというアドバイスはもらった。ただ、それ以上にプレーでいろんなことを示してくれたんです。一つひとつのパススピードやプレスをかけるタイミングや追い方。明らかに違うんです。練習から本気でやってくれて、本当に参考になった」
ここまで示してくれた先輩に対し、年始の約束を果たさないわけにはいかない。気持ちを引き締め直したキャプテンは決意を新たに本大会に臨んだ。
中村に牽引されたチームは3回戦まで無失点。しぶとく勝ち上がり、佐賀東との準々決勝でも相手の反撃を1点に抑えて勝利を手繰り寄せた。中村自身も前半19分に右サイドからカットインし、斜め45度の位置から芸術的なミドルシュートを決めて勝利に貢献。2−1で凱歌をあげた後のフラッシュインタビューでは「感極まって涙が出て…」と話し、ミックスゾーンで安堵の表情を浮かべた姿からもこの1年の苦悩が見て取れた。
ただ、約束の4強入りを果たしたものの、日野の話になると話は別。自重気味に口を開いた。
「俺は超えたぞと言いたいんですけど、個人としては全く及ばない。チームとして超えましたという報告はしたいんですけど…」
日野を上回ったという気持ちは一切なかった。
先輩の背中を追いかけてきた10番は、少しだけプレッシャーから解放されたが、1月6日の準決勝で国立のピッチに立つ。新たな景色を見ることになるが、次なる目標は“アレ”しかない。
「ここまで来たら優勝の2文字しかない。果たせるようにまた良い準備をしていきたい」(中村)
偉大な先輩に少しでも近づけるように、夏冬通じて創部初の日本一に導いてみせる。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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「俺は超えたぞと言いたいんですけど、個人としては全く及ばない。チームとして超えましたという報告はしたいんですけど…」
日野を上回ったという気持ちは一切なかった。
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